東日本大震災と福島第1原発事故で東京都内に避難している世帯に都が実施した調査で、都内定住を希望する世帯が回答者の約44%に上り、前回調査を上回ったことが分かった。回答者の約8割は福島県からの避難世帯で、原発事故が収束せず、地元への帰還を諦める世帯が増えている実情が明らかになった。
都は2~3月、都内に避難している3555世帯にアンケート用紙を郵送し、1139世帯(32%)が回答した。回答者の約81%を福島県の避難世帯が占め、約14%が宮城県、約4%が岩手県の避難世帯だった。
「今後の生活の予定」に関する質問への回答結果はグラフの通り。都内定住と仮設住宅入居期間内の都内居住を望む世帯が計61.2%を占めた。都内定住は昨年2月の前回調査は37.2%だった。
都内定住を希望する理由(複数可)は「放射能による健康への影響が不安」が56.5%と最多で、「地元の復興のめどが不明」(40.9%)「地元の除染のめどが不明」(37.8%)が続いた。
住民票の異動も、家族全員または家族の一部が都内に異動した世帯の合計が37.3%となり、前回から3.8ポイント上昇した。異動していない理由では「東京電力の賠償への影響が心配」(46.5%)が最も多かった。
世帯主の就業状況は無職が50.1%と半数を超えた。無職者の50%が就職活動をしていないと回答しており、その理由(複数可)は「現在の住居にいつまで居られるか分からない」が38.7%で群を抜いた。
都内には現在、福島県から約7300人が避難している。都復興支援対策部は「復興が進みつつある岩手、宮城両県に比べ、放射能の影響が残る福島県は帰還の環境が整っていない現状が回答結果に反映している」と話している。