都市ガス製造来月上旬再開 仙台市ガス局・港工場

仙台市ガス局は24日、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた港工場(宮城野区)の仮復旧工事が完了し、液化天然ガス(LNG)で製造した都市ガスの供給を12月上旬に再開すると発表した。
 港工場では浸水で壊れた設備の補修に加え、製造施設内への浸水を防ぐため、ドアの機密性向上や窓の位置変更、制御装置の高所移設など、新たな対策を講じた。仮復旧を終え、29日には震災後初めて、マレーシアからLNG船「アマンセンダイ」を受け入れる。
 同工場は、都市ガスを仙台、多賀城、富谷など7市町村に供給。現在は、新潟―仙台間のパイプライン(総延長約262キロ)から供給される天然ガスに、港工場で臭いを付けて出荷している。
 仮復旧後は供給量全体の45%を製造で、55%をパイプラインで賄う。徐々に製造による供給を増やし、震災前の7対3の割合に戻していく方針。電気設備などの修復を進め、来年5月の本格復旧を目指す。
 ガス局全体の復旧費は計約150億円で、主な内訳は港工場が約70億円、ガスホルダーや導管など供給設備が約21億円、ガス事業者による復旧隊の費用が約44億円。当初見込んだ約250億円より大幅に圧縮できる見通し。奥山恵美子市長は「冬場はガスの需要期。寒さが本格化する前に、複数の供給ラインを確保できることになり、安定してガスを提供できる体制が整った」と話した。

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