都市景観大賞に仙台のNPO 小学生と歴史的建造物修復

優れた都市景観づくりや景観教育の取り組みを表彰する2013年度の都市景観大賞に、仙台市のNPO「建築と子供たちネットワーク仙台」が選ばれた。東日本大震災で被災した市内の歴史的建造物の修復に小学生たちの参加を促し、震災復興と景観再生を体験させるプロジェクトが評価された。
 ネットワークは、被災した大正時代の堤焼の登り窯(青葉区)と、江戸時代の旧丸木商店の蔵(若林区)の修復を活動の柱に据え、それぞれ吉成小(青葉区)や南材木町小(若林区)などの総合学習の教材になった。
 大賞の審査講評では、単に専門家が出前授業をするのではなく、多様なプログラムを提案して現場の教員と一緒に授業を組み立てている点を特長に挙げ、「継続性、連携の在り方の観点から完成度の高い活動」と賛辞を贈った。
 1993年設立のネットワークは、市内の旧奥州街道沿いの歴史的資源を保全し、教育に活用する活動を展開。建築やデザインの専門家、自治体職員、教員、主婦ら33人で構成する。
 渋谷セツコ代表(62)は「20年間で築き上げた建物所有者や学校、地域住民との関係が結実し、震災復興につながった。長年の取り組みが認められ、宝石のような賞」と喜ぶ。
 都市景観大賞は「都市景観の日(10月4日)」実行委員会が主催し、国土交通省が後援する。11年度から「都市空間」と「景観教育・普及啓発」の2部門制となり、ネットワークは景観教育で受賞した。
 本年度の景観教育部門では北九州市と山口県下関市にまたがる関門地区の建築士会の活動も大賞を受賞した。

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