新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、小中学校などの学校再開に関する国の方針が1日示された。感染拡大警戒地域では一斉休校の継続の検討が盛り込まれ、保護者や教員からは理解を示しつつも困惑の声がもれた。新学期は地域によってスタートに差が出ることになる。
感染拡大が続く東京都。都教委は1日、都立校(高校、特別支援学校など)の休校をゴールデンウイーク(GW)が終わる5月6日まで延長することを決めた。区市町村立の小中学校でも同様の措置をとる可能性がある。
「あと1カ月この生活が続くのはつらい」。東京・多摩地域で小学3年の長男を1人で育てる30代の男性はため息をつく。この1カ月間、長男の世話のため自宅でテレワークを続けてきた。両親に預けることも考えたが、感染すれば高齢者ほど重症化しやすいと聞きあきらめた。1日の大半を自宅で過ごすため光熱費がかさむ。「休校延長はやむを得ないが、子どもたちの学習のサポートや経済的な補償をないがしろにしないでほしい」
都立高の女性教員は「学校から感染者を出さないためにも当然の判断」と受け止めるが、「休校が長引くと家庭の経済力の差などが学びの定着度の差につながるおそれがある」と懸念する。区立小の男性教員は「学校が再開したら優先順位を付けてカリキュラムを組み直したり、行事を思い切って削減したりといった対応が必要になる」と話した。
一方、感染者が4月1日夕時点で確認されていない岩手県では、大半の小中学校は4~7日に新学期がスタートする予定。盛岡市の担当者は「感染ゼロでも気を緩めず、対策を継続したい」と語った。大船渡市立綾里小では1日に入学式が開かれ、7日から授業が始まる。
大阪府では1日時点の感染者は278人で東京に次いで多いが、大阪市立の小中学校や幼稚園で子どもや教職員が感染したケースは確認されていない。大阪市の松井一郎市長は1日、「再開の準備をしてもいいのではないか。国の専門家会議を見ながら判断したい」と話した。市教委は春休み明けの再開を今週内にも判断する見通しだ。
福岡県教委の城戸秀明教育長は1日の対策本部会議で「(感染が拡大傾向にある地域でないとする)県の感染状況に変更はないようなので、現時点で(1日以降に)学校を再開する方針に変更はない。国の新たなガイドラインを踏まえて、県内の感染状況の変化があれば対応したい」と語った。【三瓶杜萌、山田豊、田中理知、田畠広景、吉住遊】