株式会社ブランド総合研究所は2022年7月25日、「第4回地域の持続性調査2022」の結果を公表しました。 【グラフ】貯蓄を考えるなら無視できない投資の複利効果とは(出所・金融庁) 結果によると、住民が最も「幸せである」と感じているのは沖縄県で、2年連続の1位です。 しばしば「幸せ」と「お金」は紐づけて考えられますが、貯蓄額は幸福度にも寄与するのでしょうか。 今回は最新の総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年-(二人以上の世帯))」を参考に、47都道府県の働く世代の平均的な年収と貯蓄をながめていきます。 都道府県別の違いを見ながら、収入と貯蓄の関係も見ていきましょう。
都道府県別!貯蓄額のトップ10とは
まずは最新の総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年-(二人以上の世帯))」を参考に、47都道府県のうち「平均貯蓄額」のトップ10を見ていきます。 1.東京都:2372万円 2.京都府:2210万円 3.奈良県:2023万円 4.岐阜県:1943万円 5.千葉県:1913万円 6.滋賀県:1909万円 7.愛知県:1815万円 8.埼玉県:1758万円 9.群馬県:1682万円 10.神奈川県:1642万円 東京都、千葉県、埼玉県、群馬県、神奈川県と関東が5つもランクイン。また京都府や奈良県、滋賀県といった関西地方や、岐阜県と愛知県も入りました。 貯蓄は平均年収とも関係があるのでしょうか。次は総務省の同資料から、平均年収も確認してみます。
都道府県別!平均年収のトップ10とは(年収・貯蓄)
1.東京都:978万円(2372万円) 2.埼玉県:937万円1758万円) 3.神奈川県:837万円(1642万円) 4.岐阜県:801万円(1943万円) 5.愛知県:801万円(1815万円) 6.奈良県:799万円(2023万円) 7.福岡県:795万円(1284万円) 8.千葉県:795万円(1913万円) 9.石川県:794万円(1437万円) 10.群馬県:793万円(1682万円) 平均年収ではやはりトップ3を首都圏が占め、関東が5つランクインしています。 また、貯蓄で入っていた岐阜県や愛知県、奈良県の他に、福岡県や石川県が入りました。平均年収が高ければ貯蓄も高くなる傾向にあるものの、一概には言えないようです。 気になるのが、どちらにも「幸福度1位」の沖縄県がランクインしていないことです。深掘りするために、地域ごとにも見ていきましょう。
東北や関東の【貯蓄と年収】はいくら?
まずは北海道や東北、関東から見ていきましょう。 貯蓄の全国平均1454万円(年収 749万円) ・北海道:987万円(634万円) ・青森県:1110万円(685万円) ・岩手県:991万円(704万円) ・宮城県:1121万円(699万円) ・秋田県:1049万円(658万円) ・山形県:117万円(734万円) ・福島県:1247万円(704万円) 北海道・東北地方で最も年収が高いのは山形県、貯蓄が多いのは福島県でした。 ・茨城県:1056万円(733万円) ・栃木県:1154万円(725万円) ・群馬県:1682万円(793万円) 北関東では年収・貯蓄ともに群馬県が多いという結果になりました。 ・埼玉県:1758万円(937万円) ・千葉県:1913万円(795万円) ・東京都:2372万円(978万円) ・神奈川県:1642万円(837万円) 首都圏ではやはり東京都が最も多く、年収は978万円、貯蓄も2000万円を超えました。
北信越や中部の【貯蓄と年収】はいくら?
次に北信越と中部地方を確認します。 貯蓄の全国平均1454万円(年収 749万円) ・新潟県:1282万円(717万円) ・富山県:1482万円(769万円) ・石川県:1437万円(794万円) ・福井県:1378万円(688万円) 北信越地方では石川県と富山県が年収・貯蓄ともに高いようです。 ・山梨県:959万円(696万円) ・長野県:994万円(747万円) ・岐阜県:1943万円(801万円) ・静岡県:1365万円(705万円) ・愛知県:1815万円(801万円) ・三重県:1598万円(744万円) 中部地方では愛知県と岐阜県の年収が800万円を超え、貯蓄も2000万円に迫ります。岐阜県から名古屋へ通勤される方も多いと予想できます。
関西や中国・四国地方の【貯蓄と年収】はいくら?
次に関西や中国・四国地方を確認しましょう。 貯蓄の全国平均1454万円(年収 749万円) ・滋賀県:1909万円(786万円) ・京都府:2210万円(712万円) ・大阪府:792万円(672万円) ・兵庫県:1559万円(794万円) ・奈良県:2023万円(799万円) ・和歌山県:1308万円(630万円) 関西では奈良県、兵庫県、滋賀県の年収が高く、貯蓄は京都府と奈良県で2000万円を超えました。 関東では都市部の年収や貯蓄が高い結果となりましたが、関西では人口の多い大阪府が年収・貯蓄ともに低くなっているのが特徴的です。 ・鳥取県:1233万円(685万円) ・島根県:1197万円(753万円) ・岡山県:1116万円(729万円) ・広島県:1196万円(713万円) ・山口県:1403万円(678万円) 中国地方では島根県と岡山県の年収が高く、貯蓄は山口県が高い結果となりました。 ・徳島県:1688万円(753万円) ・香川県:1372万円(655万円) ・愛媛県:1096万円(682万円) ・高知県:969万円(730万円) 四国では徳島県と高知県の年収が同程度ですが、貯蓄では約700万円もの差があります。徳島県の貯蓄は1500万円を超えており、全国で見ても高い水準となっていますね。
九州・沖縄地方の【貯蓄と年収】はいくら?
貯蓄の全国平均1454万円(年収 749万円) ・福岡県:1284万円(795万円) ・佐賀県:929万円(614万円) ・長崎県:844万円(604万円) ・熊本県:1215万円(710万円) ・大分県:936万円(712万円) ・宮崎県:904万円(666万円) ・鹿児島県:990万円(636万円) ・沖縄県:752万円(579万円) 九州・沖縄地方では福岡県や熊本県などの都市部で年収・貯蓄ともに高い傾向がみられます。 ただ全体的に貯蓄は1000万円以下が多く、年収が平均を超えるのも福岡県のみです。沖縄県では貯蓄・年収ともに一番低いという結果になりました
貯蓄は明確な目標を持ち自分に合う方法で
今回の貯蓄と年収をみると、年収と貯蓄のトップ10には関東が5つランクインし、関西や中部地方など、やはり都市部ほど高い傾向が見られました。 しかし大阪のように、都市の規模と貯蓄が連動しない地域、あるいは年収と貯蓄が連動しない地域もあります。 また幸福度ランキング1位の沖縄のお金事情も興味深いものがあります。幸福度ランキングでは「あなたは幸せですか」という問いに加え、生活満足度、愛着度、定住意欲度の4項目が数値化されています。 「持続度」に重点をおいているため、そもそも貯蓄や年収との相関関係を見出すのは難しいかもしれません。 しかし、「貯蓄を頑張る人が幸せになるわけではない」というのは、多くの人にとって重要なポイントになるのではないでしょうか。 昨今では「老後2000万円問題」なども話題となりますが、遠い将来を不安に思うばかり節約に励んでいると、今目の前の生活が楽しめないこともあります。 今の我慢が、本当に将来実を結ぶのかどうか。ここを見極めるのが重要になります。 老後のお金を考えるのはとても大切ですが、やみくもに貯蓄するだけでは本末転倒になりかねません。今の幸せがあってこその、老後の幸せです。 そのためには「本当に老後に必要なお金」を見極め、「自分に合い、かつ効率的に貯蓄できる方法」に限定することが必要なのではないでしょうか。
まとめにかえて
年収や貯蓄を見ていきましたが、居住地によってお金事情は驚くほど違うことがわかりました。 さらには家族構成や子どもの人数、進路などによっても事情は異なるでしょう。 大事なのは「我が家にとって必要な貯蓄」です。今の生活を守りながら将来のお金も貯蓄するのは難しいですが、例えば「資産運用」などを併用することで、長期のお金は運用に回すのもひとつです。 期間が長いほど、複利の効果が得られるので銀行預金よりも効率的にお金を増やせる可能性があります。 ただし、リスクはきちんと確認する必要があります。 これを機に、固定費の見直しや資産運用など、今できることをしっかり考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・株式会社ブランド総合研究所「幸福度1位は沖縄県(2年連続)。愛着、定住意欲と3冠に」 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」 ・金融庁「投資の基本」