酒場求め青葉区外へ 通常営業の店、活気戻る

1日午後9時半すぎ、宮城野区の男性会社員(38)は同僚3人とJR仙台駅東口周辺で2次会の店を探していた。一帯は宮城野区だ。
 午後7時から飲み始めた仙台駅西口周辺の居酒屋は、13日まで時短営業が続く青葉区内のため午後9時で閉店。さらに飲める店を求めて区をまたいだ。「久々の2次会だ」と男性は笑顔を見せた。
 青葉区で酒の提供が終わる午後8時すぎになると、駅の東西自由通路を西から東へと千鳥足で歩く会社員らの姿が目立ち始める。
 「営業再開記念価格」「再開イベント開催!」。今が好機とみて特別料金や新メニューを用意した東側の店は多い。キャバクラの男性店員(30)は「店案内のティッシュを受け取る人数は、いつもの倍以上」と話す。

 深夜営業の店を目指す人の流れは仙台駅周辺に限らない。2日午後9時40分ごろ、泉区の市地下鉄泉中央駅周辺の飲食店街はスナックから漏れる歌声が響き、2次会会場を探す若者らが路上で盛り上がっていた。
 13人で宴会をした同区の男子大学生(22)は「集まりやすいのは国分町(青葉区)だが、遅くまで店が開いている泉にした。ピッチャーを回し飲みしないなどの感染対策もしている」と言って次の店に向かった。
 太白区のJR長町駅近くの飲食店街「長町2番街」でも1、2の両日、常連客らが通常営業の再開を祝った。居酒屋を営む女性(54)は「青葉区から流れる客を取り込もうとする店がある一方、感染リスクを恐れて新規客を断る店もある」と語る。

 同じ町名で隣接もしながら、明暗が分かれた場所もある。
 若林区五橋3丁目の居酒屋「松(まつ)り」には、2日午前0時すぎまで客がいた。代表の松岡宣男さん(43)は「『ここは若林区ですよね』と確認して入店する客もいた」と明かす。
 区境から数十メートル、青葉区五橋1丁目のすし店「鮨(すし)だい寅(とら)」は時短営業が続く。親方の大場喜美男さん(70)は「もう少しの辛抱」と、自分に言い聞かせるように語った。
 県と市は「青葉区外の事業者も緊張感を持って感染対策を講じ、市民も協力してほしい」と呼び掛ける。

タイトルとURLをコピーしました