酒米増産を本格後押し 農家と蔵元マッチング

東北農政局は本年度、酒米の生産拡大に向けたプロジェクトに乗り出す。東北のコメ農家と蔵元のマッチングを進め、地場産米などを活用した高付加価値の日本酒造りを支援。過剰在庫の抑制が急務となっている主食用米からの作付け転換を促す環境整備を図る。
農政局単位では全国初の試みで、酒税行政を担当する仙台国税局も協力。湯沢市の酒米生産者グループや酒米の新品種「雪女神」を開発した山形県工業技術センター、東北6県の酒造会社関係者ら12人による検討会を設ける。
検討会の初会合は19日、仙台市青葉区で開催。2016年産米からの作付けや利用拡大を見据え、契約栽培の推進や需給増を図るための課題などを協議する。
東北6県のコメ生産量は14年産で242万トン。このうち主食用米の212万トンに対し、醸造用玄米として検査された数量は約1万トンにすぎなかった。水稲全体に占める割合は全国の約1%に対し、東北は0.4%程度にとどまっている。
酒造好適米として東北では出羽燦々(山形)、秋田酒こまち(秋田)、蔵の華(宮城)などが作付けされているが、西日本で栽培が盛んな山田錦などを使っている蔵元もある。農家と蔵元の連携が進めば、圏域内の需給を拡大できる可能性が大きい。
東北農政局の下村聡次長は「米価が低迷する中、酒米を生産する農家は徐々に増えている。酒造現場でも地元産を活用したいという潜在的なニーズがある」と説明。「将来的には東北からの日本酒輸出の促進につなげたい」と話す。
プロジェクトの初会合に合わせ、19日午後2時から青葉区のエル・パーク仙台で、東北での酒米づくりなどをテーマにしたセミナーを開く。連絡先は、東北農政局生産振興課022(263)1111。

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