里山「薪の駅」化着々 加美町・森林資源地産地消の拠点

 宮城県加美町は本年度、森林資源の地産地消を目指し、木材の生産供給拠点を整備する「薪(まき)の駅」構想を進めている。安価な輸入材に押され国産材の価格低迷が続く中、国産材をまきに加工して利用を促進することで木材生産者の支援と里山整備につなげる。
 構想では、町が同町の旧小野田地区にまきを集めて加工、管理する場所を「薪の駅」として整備する。町内の木材生産者から木材を買い取り、まきに加工し、まきストーブやまきたき用風呂釜などの利用者に販売する。町と連携して事業を進めるため、町内のまき愛好者ら15人でつくる実行委員会も立ち上げた。
 加工したまきは、町の第三セクター「薬莱振興公社」が管理運営する温泉施設「やくらい薬師の湯」にも提供する。東日本大震災で発生した建築廃材をチップ加工し、ボイラー燃料として利用してきたが、震災がれきの処理完了により廃材が減ってきたという。
 まき愛好者の裾野を広げるため、チェーンソーの使い方を学ぶ安全講習会を開くほか、隙間なく積み上げたさまざまな種類のまきの断面で絵を描くアートコンテストを開催する予定だ。
 まきの利用促進を図ろうと、町は本年度、町民がまきストーブやまきたき用風呂釜、まきボイラーを購入する際、購入費や設置工事費を補助する事業を始めた。補助額は購入費と工事費を合わせた3分の1の範囲内で、ストーブは15万円、風呂釜とボイラーは10万円を上限とする。
 町協働のまちづくり推進課は「木材の価格低迷により採算ベースに乗せられず、生産者は伐採した木材をそのまま放置している状態だ。有効活用することで里山の活性化につなげたい」と話す。

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