人体に装着して筋力をサポートし、作業の負担を軽減するロボット技術「パワードスーツ」の実用化の動きが相次いでいる。パナソニックやホンダなどが介護や物流、災害対策向けなどへの開発を加速。高齢化の進展に伴い、重労働を軽減してくれるパワードスーツへの期待が高まっている。
パナソニックは11日、物流現場の荷物の積み下ろし作業を軽減する補助装置「アシストスーツAWN-02」を公開した。パナソニックと三井物産が出資するベンチャー企業、アクティブリンク(奈良市)が開発した。
同社のアシストスーツは重さが7キロ台で、背負って使用する。装置に内蔵したセンサーで体の動きを検知し、腰部にあるモーターを回転させ、作業者の負担を軽減する。稼働時間は約150分で、荷物を運ぶ際に腰の負担を約15キロ軽減できるという。平成27年に販売する計画で、価格は約50万円の想定。アクティブリンクの藤本弘道社長は「農業や介護向けにも用途を広げたい」としている。
一方、ホンダはモーターの力で歩行を支援する「歩行アシスト」を開発中だ。現在、国内50カ所のリハビリセンターで実証実験を行っている。ベンチャーのサイバーダインが開発したロボットスーツ「HAL(ハル)」は、足が不自由な人が一定期間装着して治療すると歩行機能が改善される効果があるという。すでに国内の医療施設で356台が稼働している。
政府も11日、首相官邸で「ロボット革命実現会議」の第1回会合を開き、人手不足の解消や生産性向上を目指し、ロボット普及に向けた平成32年までの5カ年計画案を年内にまとめる方針を確認した。会議で、安倍晋三首相は「ロボットの導入は(生産性向上の)大きな切り札になる」と普及に強い期待を示した。
ロボットは価格が高いため、本格普及には政府による補助金などの充実が求められそうだ。(黄金崎元)