児童生徒の通学かばんが重すぎると指摘されている問題で、自宅で使わない教材を学校に置く「置き勉」を積極的に活用する中学校が仙台市内で増えている。生徒の自主性に任せて対象の教科を増やしたり、生徒主導でルール作りに取り組んだりしたケースもある。
青葉区の五橋中(生徒602人)は11月から、全教科で置き勉をできるようにした。国語や数学など主要5教科はこれまで、家庭学習に必要との理由で、学校に置いて帰ることを許可していなかった。
生徒たちにとって、5教科だけでも教材が重いという実態があった。佐藤正幸校長は「教科書は上質な紙を使っているので、普通の本より重い」と言う。
教職員の間からは、賛否両論が出た。教科書を持ち帰らない生徒が増え、家庭学習がおろそかになることを懸念する反対意見も多かったという。
「生徒を信頼して一度やろうと決めた」と佐藤校長は振り返る。問題があれば、従来のルールに戻す可能性もあるという。
同区の広瀬中(717人)は生徒会が中心となり、独自のルール作りに取り組んだ。昨年10月の生徒会役員選挙で、通学かばんの軽量化を訴えた生徒が当選。「かばんを軽くしようプロジェクト」をスタートさせた。
生徒会が約20人のかばんを調べたところ、重さは平均12キロに上った。うち8.8キロを学用品が占める現状を踏まえ、置き勉の必要性を校内で訴えたという。
全校生徒の意見を集約し、教職員と改善策を話し合い、科目別に学校に置ける教材のリストを作成。3月から運用を始めた。生徒会長の2年長浜亮太さん(14)は「重さが半分になった」と喜ぶ。
置き勉の導入に伴い、ロッカーの新設や増設はしなかったという。芳賀亨教頭は「子どもたちの自主性を尊重し、できる範囲で始めた。現時点で問題は見当たらない」との考えを示す。
河北新報社の調査によると、青葉区にある中学校17校中6校が本年度、置き勉を取り入れた。
生徒が教材を学校に置いて帰れるか否かの判断は各学校に委ねられている。市教委教育指導課の担当者は「各校が状況に合わせ、生徒児童の通学しやすい環境を整えてほしい」と話す。