野菜相場が急落 好天気温上昇 葉茎菜類の生育回復

高騰が続いた野菜相場が下げてきた。野菜全体の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は3月に入って急落し、上旬は1キロ187円と、ピークだった1月上旬の24%安。好天や気温上昇で生育遅れが回復し、葉茎菜類を中心に入荷が潤沢となっている。価格は現時点で過去5年平均(平年)をやや上回るが、市場関係者は「全般に増量が見込まれ、月末にかけて平年を割り込む可能性もある」と指摘する。

野菜相場は、台風被害が発生した昨年秋から高騰。冬場の低温や水不足で生育不良が長引き、品薄が続いた。3月に入ると一転し、天候の安定により生育が回復。上旬の大手7卸の販売量は2万9705トンと、平年を1割近く上回った。

特に葉茎菜類の急落が目立つ。東京都中央卸売市場大田市場では12日、愛知産のキャベツが1ケース(10キロ・8玉・高値)1620円と、1週間前の4割安で取引された。それ以外にも、愛知産のブロッコリーが1ケース(5キロ・秀12玉・高値)2160円で2割安、茨城産のホウレンソウが1袋(200グラム・高値)108円で2割安となった。

卸売会社は「年末からの高値続きで消費が伸び悩んでいる。スーパーは葉茎菜類の売り込みを控え、増量に対応できていない」と分析する。

トマトなどの果菜類は、3月上旬の日農平均価格が1キロ349円で、平年の1割安と軟調な取引が続く。産地が加温に力を入れ、作柄は良好だ。

一方、ダイコンなどの根菜類は1キロ162円で8割高と、春作の遅れが回復していない。

相場の急落に合わせて売価を下げ、特売を仕掛ける動きも出てきた。東京都内の青果店は、愛知産のキャベツを1個250円、群馬産のホウレンソウを2袋100円で並べ、「この1週間で半値近くに下げた」。値頃感が強まり、「遠ざかっていた客足が戻ってきた」と受け止める。

今後も葉茎菜類や果菜類を中心に、まとまった入荷が続きそう。JA全農いばらきは「ここ数週間は天候が安定し、レタスや水菜などは順調な出荷見込み」と話す。JAあいち経済連も「キャベツの出荷量は平年並みまで回復してきた。肥大も良い」と説明。卸売会社は「サラダ商材を中心に野菜の売り込みが増える」と話し、取引も活発になると見込む。

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