田中貴金属工業は9日、指輪やネックレスなどの貴金属を買い取るサービス「RE:TANAKA(リ・タナカ)」で、8月の金の買い取り量が1917.5キログラムとなり、2009年6月のサービス開始以来、月間で過去最高を記録したと発表した。金価格の歴史的高騰を追い風に、不要になるなどした手持ちの金製品を売却する客が急増した。
8月の金の買い取り量は、昨年の月平均実績(306.7キログラム)の6倍超に達し、昨年1年間の買い取り量(3680.9キログラム)の半分を超えた。
プラチナの8月の買い取り量も167.8キログラムと、同じく月間での過去最高を更新した。
同社は全国65店で貴金属の買い取りを手掛けている。東京・銀座の直営店「GINZA TANAKA(ギンザタナカ)銀座本店」では、金価格高騰を受けて金製品などの買い取りを求める客が殺到し、8月下旬には最長で8時間待ちとなった。このため、同社は対応ブースを増やし、客1人当たりの持ち込み点数を5点までに制限。近くのビルを借りて急きょ待合室を設けるなどの対応に追われた。
金は、欧米の債務問題や世界経済の減速懸念を背景に、安全資産として買われる動きが加速。米国債の格下げを皮切りに高騰に拍車がかかり、ロンドン市場では8月下旬に現物取引で1トロイオンス1886.5ドルの史上最高値を記録、8月の1カ月間で250ドル以上も上昇した。日本の国内価格も、31年ぶりの高値圏で推移した。