山形県尾花沢市は本年度、年末年始の多客期に、著名な観光地である銀山温泉で課題となっているオーバーツーリズム(観光公害)対策の実証実験を行う。パークアンドライド方式で温泉街に直接向かうマイカーを規制するほか、夜景見物で混雑する来訪者を調整する。大正ロマンの情緒が漂う静かな温泉街の魅力を保つために手を打つ。
「静かな景観を守りたい」
期間は12月23日~来年1月6日の15日間。温泉街を訪れるマイカーや貸し切りバス、県外からのタクシーを約2キロ手前の観光施設「大正ろまん館」の駐車場で止め、日帰り客を以前から運行する温泉街と往復するシャトルバス(往復500円)に誘導する。バスの乗客が集中する午後4~8時は乗車をインターネットでの事前予約制とし、来訪者の総量を規制する。
狭い山あいにある銀山温泉は、銀山川を挟んで大正、昭和初期に建てられた旅館が並び、特に冬季は幻想的な雪景色で人気が高い。宿泊客を含む来訪者はコロナ禍の20年度の26万人から23年度は33万人に回復し、うち2万人が外国人。来訪者は直近で最多だった18年度の44万人には及ばないが、この時の外国人は1万5000人だったため、全体に占める外国人の割合では上回る。
尾花沢市商工観光課の担当者は「観光復興やインバウンド(訪日客)の増加により、積雪時に滑り止めが必要なことを知らない方がマイカーで訪れるなど交通障害の多発が想定される。この先も魅力あふれる銀山温泉の静かな景観を守りたい」と語る。
シャトルバスの予約は今月25日に始まった。市のホームページにリンクを張った実証実験の特設ウェブサイトで受け付ける。規制の詳細も記載している。