鎮火に22時間 仙台で初のメガソーラー火災 感電の危険などで消火難しく

仙台市青葉区芋沢横向山の「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」(出力18メガワット)で4月15、16日に起きた火災は、1000キロワット以上の発電容量を持つ大規模太陽光発電所(メガソーラー)で市内初めてのケースとなった。市消防局は感電の危険性などから慎重な消火活動を迫られ、鎮火までに約22時間を要した。メガソーラーは市内に約40カ所あり、関係者は「次」への警戒と備えを強めている。
(せんだい情報部・佐藤理史)

 市消防局警防課によると15日午後1時45分ごろ、管理会社から119番が入り、消防団を含めて消防車延べ69台、延べ320人が出動した。下草や太陽光パネルの配線などが焼け、焼失面積は約4万平方メートルに及んだ。翌16日午前11時半ごろ、ようやく鎮火した。

 消火活動は障害が重なり困難を極めた。山林とゴルフ場に隣接する発電所の敷地は約19万平方メートル。延焼を防ごうと、人員と放水ホースを敷地を囲むように展開するまで手間を取られた。

 水の確保にも苦心した。消火栓は発電所内になく、最も近い国道457号沿いまで約2キロ。約500メートル間隔で配置したポンプ車を中継役として送水したほか、10トン水槽車も4台投入した。

 太陽光発電に特有の厄介さも付きまとった。パネルは光が当たる限り、送電システムが働いていなくても発電する。放水を伝って隊員や団員が感電する恐れがあり、日没後は十分に距離を取り、霧状の水をパネル下の地面にまき続けた。

 発電所は2018年の運転開始で、出火原因は調査中。別の太陽光発電所で維持管理を担う「NIPエンジニアリング」(兵庫県)の春木裕行仙台営業所長は、一般論として(1)経年劣化したケーブルのショートで火花が飛び、枯れ草などに燃え移った(2)汚れや落ち葉の付着などによってパネルが局所的に100度以上に発熱する「ホットスポット」現象が発生した-といった可能性を指摘する。

 メガソーラーは電気事業法に基づき、主任技術者が2時間以内に駆け付けられる場所に常駐し、毎月の点検が求められる。火災現場の太陽光パネルは約5万7000枚。春木所長は「一枚一枚、表も裏も細かく点検する作業はまさにしらみつぶし。劣化や破損の見落としがない、と言い切るのは難しい」と実情を明かす。

 市消防局は昨年4月、泉区福岡の太陽光発電所近くで起きた下草火災を契機に、市内37カ所のメガソーラーをリストアップ。消防車の進入経路、消火栓や防火水槽の有無などを調べた。

 今回の消火活動でも、現場到着まで迅速に対応できたという。及川幸則警防部長は「太陽光発電所の消火活動は難易度が高いことが改めて分かった。初動で迅速に部隊を投入し、山林などへの延焼を防ぐことが最も重要だ」と気を引き締める。

タイトルとURLをコピーしました