高層ビルをゆっくり揺らして被害が出やすい「長周期地震動」が2月1日、緊急地震速報の発表基準に加わる。対象となる「階級3」以上の揺れは過去に東北でも観測されている。震源が遠くても高層階では長く大きく揺れる恐れがあり、仙台管区気象台は注意を呼びかける。
13年以降東北で5回観測 高層階ほど大きな揺れ
気象庁によると、2013年3月末に長周期地震動の観測情報の公表を始めてから、東北地方で階級3以上の長周期地震動が観測された地震は表の通り。この間、全国では階級3以上を観測した地震が11回発生した。
東北で長周期地震動が最も広範囲で観測されたのは、福島県沖で昨年3月16日に起きた最大震度6強の地震。ともに震度6弱の宮城県涌谷町と大崎市古川三日町など3観測地点で階級4、震度5強の仙台市宮城野区など宮城、山形、福島3県の11地点で階級3をそれぞれ観測した。
気象庁が特に警戒を呼びかけるのは「震度4以下で階級3以上」のケース。通常、震度4以下はほとんど被害が生じないが、高層ビル内だけは被害が大きくなる可能性があるためだ。2000年以降に起きた地震でこのケースに該当するのは全国で計6回、計30地点ある。
このうち、東北分は03年の十勝沖地震でむつ市金曲、08年の岩手・宮城内陸地震で山形県遊佐町遊佐、同県河北町谷地、東日本大震災で青森市花園、五所川原市栄町、酒田市亀ケ崎、昨年3月の福島県沖地震で同県猪苗代町城南など計10地点に上る。
東日本大震災では、震源から遠く離れた東京都心や大阪市のビル高層階が大きく揺れるなどし、長周期地震動への警戒と情報発信の機運が高まった。仙台管区気象台の担当者は「逆に東北にも長周期地震動の大きな揺れが届くこともあり得る。家具の固定など備えを徹底してほしい」と話す。