今夏の天候不順による生鮮野菜の価格高騰が続いている影響で、価格変動が小さい袋詰めのカット野菜や、価格を抑えるため半分や4分の1に小切りしたキャベツなどの葉物、安価なモヤシが東北でも人気だ。食卓への打撃が長引く中、家計防衛に努める消費者が熱視線を注いでいる。
モヤシやカット野菜を製造する成田食品(相馬市)は、10月の生食用カット野菜の売り上げが前年同月比で12.7%増加した。白菜やニラなどを切って袋詰めにした加熱用の商品は4.3%増。モヤシも2.9%増えた。
同社の担当者は「カット野菜は長期的に価格を固定して販売契約を結ぶため、店頭価格も変動しない。普通の野菜が高くなると売れ行きがよくなる」と話す。
人気の半面、野菜の流通量低迷のあおりで、原材料の仕入れに苦労するメーカーもある。カット野菜を手掛ける青森県の食品加工会社の担当者は「小売店からの要望はあるが材料が入らず、出荷調整をしている状態」と明かす。
小売店も知恵を絞る。みやぎ生協幸町店(仙台市宮城野区)の青果コーナーには、半玉のキャベツがずらりと並ぶ。20日時点で1玉の価格は248円と例年の約1.3倍。買い求めやすい価格にするため、1玉を半分や4分の1に切り分けた商品を増やした。
安価なモヤシは同店でも人気で、売り上げは例年の約1.5倍に上る。鍋物や炒め物などモヤシを使ったメニュー用のだしの素や調味料も充実させた。
仙台市中央卸売市場によると、全国的に品薄が続く野菜は引き続き高値で推移する見通し。同市場の担当者は「キャベツは千葉県などからの入荷が増え、価格が上げ止まりそうだが、入荷増が当面見込めないニンジンなどは高値がしばらく続くのではないか」とみている。