昭和の時代を象徴する性の文化遺産が、33年の歴史に幕を下ろした。最盛期には日に1000人以上の観光客が訪れたという鬼怒川秘宝殿(栃木県)の閉館が 決まったのは昨年11月。ここ数年は施設の老朽化や観光客の減少といった時代の荒波に翻弄され、来館者ゼロという日が月に幾日もあったという。
展示品のクオリティが高いことで知られてきた同館に展示されている人形の多くは、実際の人間で型を取った貴重なもの。その価値の高さから、全国の博物館などから引き取り希望が殺到しているそうだ。
閉館日となった大晦日には530人が来館し別れを惜しむ中、館長の北山房枝さんが涙を拭いながら、「最後はたくさんのお客さんに見送ってもらって人形たちも幸せだと思う」とシャッターをおろした。
この閉館で、バブル期には全国に約20館を数えた秘宝館も、熱海の1館を残すのみとなった。
「大げさかもしれませんが、日本の文化を絶やさないためにも、できるだけ長く続けていきたいです」(熱海秘宝館・設楽直明支配人)