関学大、単位不足は試合出場禁止 スポーツと学業両立促進

関西学院大(兵庫県西宮市)は25日、体育会運動部に所属する学生を対象に、取得単位数などが規定に満たなければ対外試合などへの出場を禁止する制度を設けると発表した。スポーツ庁などによると、同様の制度は早稲田大(東京)が導入しているが、全国でも珍しいという。ともすると学業より部活動が優先されがちな学生スポーツ界に一石を投じる取り組みとして注目されそうだ。(大盛周平)

全国制覇の実績があるアメリカンフットボール部やサッカー部など全42部が対象で、来年春の新入生から適用。自主的に部員の学業成績に応じて試合への出場可否を決めている部もあるが、全学で統一基準を設ける。学生個人とも入学時に合意書を交わすという。

新制度では、4年に4~8回、取得単位数に応じて「出場資格あり」「条件付き出場資格あり」「出場資格なし」の判定文書が各部の部長や学生本人に届く。「資格なし」なら練習試合を含む対外試合に半年間は出場禁止となり、国際大会の日本代表に選ばれても出られない。「条件付き」の場合、論文の書き方などを学ぶ支援プログラム受講で出場資格が復活する。

出場禁止となるのは、1年終了時に20単位以下、2年終了時に41単位以下の場合など。これは、4年間で取得しなければならない124単位を2年間留年して取るペースというが、体育会に所属する在校生に当てはめると3%が「出場資格なし」になるという。

東京都内で村田治学長とともに会見に臨んだ冨田宏治副学長は「プロスポーツを目指すような学生でも、大学で学ぶ以上は最低限の学業を習得してほしい。学業との両立は本学体育会のモットーであり、いたずらに機会を奪う意図はない」と説明した。

大学スポーツを巡っては、学業との両立支援を重視する全米大学体育協会(NCAA)の取り組みにならった「日本版NCAA」設立の動きがスポーツ庁で進む。同庁は「設立準備委員会で検討が始まっており、関学大の制度も参考にしたい」としている。

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