関西電力、オール電化のキャンペーン見送り

 関西電力が給湯器や調理器を電力で動かす「オール電化」をPRする秋恒例の大規模キャンペーンを春に続いて見送ることが30日分かった。オール電化にするとガス併用の住宅よりも電力需要が高まるため、管内の企業や家庭に節電要請を行っている立場上、自粛せざるを得ないと判断した。電気はガスと比べ災害時の復旧が早く、オール電化への期待感は高いが、普及のペースは鈍りかねない。
 オール電化は、火を使わず安全▽光熱費が節約できる-といったメリットを売りに着実に浸透。関電管内のオール電化住宅の累計戸数は今年3月末に86万7千戸となり、4年前より約40万戸増加した。
 しかし、東日本大震災後は節電を最優先してCMは自粛。ホームページでオール電化機器の問い合わせ先などを紹介しているサイト「でんかライフ・com」でも、節電の呼びかけに大きくスペースを割いた。
 また、春と秋に関西一円でそれぞれ3カ月かけて行っているオール電化のPR・販売活動「はぴeライフキャンペーン」についても、春の開催は早々に見送りを決定。秋についても「節電をお願いしているのに、『電気を使ってください』なんて言えない」(関電幹部)として、見送ることにした。
 関電では、顧客への問い合わせや注文には随時対応し、通常の営業は続けている。関電グループでオール電化物件を手がける関電不動産も「前年と同程度の戸数が売れている」というが、4月以降のオール電化住宅の戸数の推移を明かしていない。
 マンションの市場動向を調査する不動産経済研究所大阪事務所の石丸敏之所長は「災害時に、電気はガスよりも復旧が早い。それは東日本大震災でも証明された」と指摘。その上で「電力問題は長期化する可能性があるが、震災や福島第1原子力発電所事故によるオール電化需要への影響は見られない。蓄電池や太陽電池も搭載し、オール電化はさらに進化していくと思う」とオール電化の普及を見込む。
 しかし、大手デベロッパー関係者は「オール電化の最大のネックはコスト。蓄電池などで停電への対応ができても、買ってもらえる値段かどうかという問題がある」とし、「電力会社が積極的なPRができない状況が続けば、普及に影響が出てくるのは間違いない」と話している。

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