高齢者をだます特殊詐欺グループが、大手求人サイトなどに求人広告を出し、現金受け取り役を集めていることが警察庁への取材でわかった。東京、愛知、福岡など7都県警が昨年、求人に応じた男女38人を逮捕した。「闇バイト」を募る違法な求人にあたるとして、警察庁と厚生労働省が対策強化に乗り出す。
悪用が確認されたのは、大手求人サイト「インディード」「エンゲージ」と、掲示板サイト「ジモティー」など。「高収入」をうたい、「ハンドキャリー」「回収」のアルバイトなどと称して人材を募っている。
目立ち始めたのは昨夏からで、応募すると秘匿性の高い通信アプリの使用を求められ、身元を偽って高齢者宅で現金やカードを受け取るよう指示される。求人サイトは求人を載せる会社などを審査しているが、詐欺グループはダミー会社の名前を用いるなどして審査をパスしていた。
愛知県警は昨年10月、高齢者から現金をだまし取った男(21)を逮捕。男は求人サイトで「配達員」の募集に応じていた。警視庁が詐欺未遂容疑で同11月に逮捕した男(27)の報酬は1回2万円で、「15回ほどやった」と供述したという。
SNSの「闇バイト」を悪用してきた詐欺グループが、より確実に人員を集めるため正規の求人に目をつけたとみられる。有害業務の求人は職業安定法で禁じており、厚労省は今後、違法な求人を削除させるなどの対策を強化する。
インディードなど3サイトの運営会社は取材に、それぞれ再発防止などの対策を進めるとしている。