防ごう記憶の風化 仙台市教委、小中学生に副読本

 子どもたちに災害時の心構えや行動について考えを深めてもらおうと、仙台市教委は防災教育の副読本「3・11から未来へ」を作製した。東日本大震災の教訓を踏まえた実践的な防災マニュアルを記し、自助、共助の大切さを説いた。市内の小中学校と特別支援学校全190校の全ての児童、生徒に配り、授業で活用する。
 「自然災害のメカニズムと避難時の人間心理」「自助」「共助」など6章で構成。小学校低学年、高学年、中学生向けの3種類を用意し、年代に合わせた表現にした。いずれもB5判64ページ。
 応急処置や心肺蘇生法、ストレスとの向き合い方など災害時に必要な内容を網羅。防災リュックの中身や状況別の避難行動、避難所での役割などは解答例を示さず空欄にし、児童、生徒に考えてもらうようにした。
 震災の記憶を風化させないため、震災直後に子どもたちが書いた作文や詩も掲載した。海外からの支援やボランティア活動を振り返るページもある。
 副読本を使った授業は本年度から年9~12時間を目安に全学校で実施。主に総合学習や道徳の時間に使う。内容は児童、生徒の反応などを見極めながら年度ごとに見直す。
 作製した市教育センターは「震災で浮き彫りになった学校防災の課題を詰め込んだ。災害時に子どもたちが自発的に行動できるよう、しっかりと活用してほしい」としている。

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