防災・減災発信を強化 「むすび塾」地方紙と連携

東日本大震災の教訓を基に「いのちと地域を守る」キャンペーンに取り組む河北新報社は、被災地発の防災・減災発信の取り組みを強化する。より実践的な対策につなげてもらうため巡回ワークショップ「むすび塾」と津波避難訓練「カケアガレ!日本」を連動して開くなどして、「津波で犠牲を出さない」誓いを地域や全国に広めていく。
 ワークショップと避難訓練の同時開催第1弾は6月23日、北海道釧路市東部の太平洋に面する大楽毛(おたのしけ)地区で実施する。「釧路むすび塾」として河北新報社と北海道新聞社、地元町内会などが共催する。
 地区住民が車と徒歩を組み合わせた2段階の方法で指定避難先まで逃げる訓練を行い、カケアガレを共催する東北大災害科学国際研究所の研究者が結果を分析。むすび塾で課題を語り合い、地区の防災対策を探る。
 大楽毛地区と近い土地条件で被災した体験を持つ震災被災者3人が語り部として参加。被災地の教訓を伝えるほか、訓練とワークショップの成果を東北の津波防災にも生かす視点で、心構えや備えを確かめ合う。
 むすび塾は、震災前の防災報道の反省から、町内会など小さな集まりに「狭く深く」防災を働きかける新しい啓発の取り組みとして2012年5月に始まり、これまで国内外で31回開催した。
 カケアガレは電通、東北大災害研の共同事業として同年9月に岩沼市で初開催。宮城県山元町などで避難訓練を行い、被災地発の訓練プログラム作りを進めている。
 二つの取り組みを連動させることで、実践的な備えと啓発につなげ、震災の教訓を広めることを目指す。北海道新聞との共催を皮切りに、全国の地方新聞社と連携して開催を継続する。
 ほかにも、仙台市で来年3月開かれる国連防災世界会議に向けた特集紙面や関連事業を展開する予定。関連記事に添える「いのちと地域を守る」カットも一新し、日々の紙面で防災・減災の呼び掛けを強めていく。

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