防災無線、聞きやすく 東北大が音の届き方調査

災害時に防災行政無線を有効活用するため、東北大電気通信研究所(仙台市)の共同研究チームが29日、仙台市若林区荒浜で屋外拡声システムの実証実験を行った。音声が重ならないスピーカーの配置方法や、聞き取りやすい言葉の選び方などの研究を重ね、本年度中に指針を示す。
 この日は重機で15メートルの高さに持ち上げたスピーカー2台を200メートル離して設置し、音声を流した。研究チームのメンバーが複数箇所で聞こえた言葉を書き留め、音の重なりや聞き取りにくい言葉がないかどうかなどを確かめた。
 研究は、総務省の委託でことし3月に始まった。地形によって異なる音の伝わり方を調べるため、平地が広がる荒浜のほか、東松島市の山あいや石巻市の市街地で実験を続けている。言葉だけでなく、音を聞いただけで直感的に避難誘導できるような「サイン音」の開発も目指している。
 東日本大震災では、防災無線から流れる津波警報が聞き取りづらかったと証言する被災者も多く、被害拡大の一因になったと指摘されている。
 鈴木陽一教授(音情報学)は「屋外拡声システムの確立は世界的にも例のない研究。住民の命を守るため、今までの研究を役立てたい」と話した。

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