隅田川に伝わる妖怪「片目の大緋鯉」神輿で復活 千住大橋まで練り歩く

隅田川の岸辺に真っ赤な鯉(こい)の神輿(みこし)が…。広島カープの日本シリーズ優勝を願うファンではない。荒川区の中学生が現代によみがえらせた隅田川の妖怪「片目の大緋鯉(おおひごい)」。二十五日、子どもたちの「わっしょい」の声とともに千住大橋付近を練り歩いた。 (石原真樹)

南千住中心に隅田川周辺に伝わる妖怪伝説や言い伝えを掘り起こし、発信しようという「隅田川妖怪絵巻プロジェクト」だ。地域の伝承を後世へと語り継ぐ活動に取り組むNPO法人・千住すみだ川(海老江重光理事長)と区立南千住第二中が協力して二〇一三年から妖怪の神輿を作っている。

「片目の大緋鯉」の神輿は最初の年に作った。江戸時代に千住大橋を架ける際に捕らえようとした人に傷つけられた鯉が、片目の妖怪になったとされる。その神輿を解体して、三年ぶりに作り直した。初代よりも顔をぐっと持ち上げて動きのある形にした。どう猛な表情にして、時に洪水を引き起こす川の恐ろしさを表現した。

有志の生徒が今月十一日から竹を編んで骨組みを作って新聞紙などを張り、うろこを付けてアクリル絵の具で色付けした。うろこの裏側には「受験に合格」「サックスを頑張りたい」など、三百六十二人の全生徒が願い事をしたためた。

神輿は高さ一・五メートル、長さは四メートル。この日、四十人の生徒たちが「わっしょい」「どすこい」などと声を上げながら、学校から千住大橋のたもとまで神輿をかついで歩いた。最後にバケツでくんだ隅田川の水で溶いた墨で黒目を描き入れて完成させると、二年の羽田美結さん(13)と藤井ノアさん(14)は「頑張って良かった」と声を合わせた。

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