隠し味はオリーブ油。漁師が浜辺で食べる味付けノリは絶品

 ごはんとみそ汁、漬物に加え、昭和の中頃まで朝食の定番だったノリ。洋食化が進むにつれ家庭の消費量は激減し、進物として贈る風習も少なくなる中、需要を支えているのはコンビニエンスストアのおにぎりしかない状況だ。
 そんな若者世代のノリ離れを防ごうと、約2年前に三國屋(広島市西区)が開発したのが、近鉄百貨店阿倍野本店(大阪市阿倍野区)の地下2階「デイリーマート」で人気を集める味付けノリ「うみべのしおのり」(10切80枚入り、525円)。
 60代以上の中高年層が主要顧客の売り場だが、3月に発売したところ、30~40代女性を中心に1カ月約50点売れている。
 オリーブ油を塗ってほどよくあぶり、塩をまぶした味付けノリで「もともと漁師が、傷ができて商品にできないノリを油と塩で調理し、浜辺で食べていたところからヒントを得た商品」と、三國屋の平本幹二営業部長は説明する。
 原材料のノリは、舌触りがやわらかく、深みのある味で定評のある佐賀県有明海産の品を使用。伊シチリア島のオーガニックオリーブ油と、仏ブルターニュ地方のゲランド塩田からとれた天然海水塩で味付けしている。
 ゴマ油を使った韓国ノリよりさっぱりとしており、ノリ本来の風味も生きている。「さまざまな油や塩との相性を試行錯誤し、最も合う素材を選んだ」と、平本営業部長は商品の完成度に自信をみせる。
 ビールや白ワインなど酒のおつまみとしても楽しめるが、「パスタの具として混ぜたり、レタスやトマトなどのサラダにあえたりなど、料理に生かせると好評です」と同店「デイリーマート」の湯瀬光一係長は話す。
 ノリや塩のうまみが調味料として生かされ、料理の幅を広げてくれるという。洋食の多い食卓にもぴったり合う味わいが、女性らの人気を集める一番の理由となっている。(田村慶子)

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