■ヌートリアや水草「新参」急増
琵琶湖で外来動植物が相次いで見つかっているのを受け、滋賀県が来年度、駆除のためのボランティア部隊を結成することが分かった。「エイリアン・バスター」と名付ける予定で、昨年急増した南米原産のネズミの仲間で体長約50センチにもなるヌートリアや、繁殖力の強い水草など新参の動植物が対象。駆除は自治体だけでは追いつかないため、県は、生態系維持の「切り札」と期待している。
滋賀県内では外来生物法による「特定外来生物」に約20種が該当するが、県は当面、ヌートリアと、繁殖力の強いナガエツルノゲイトウをはじめとした植物を「バスター」の手を借りて駆除する。
県は琵琶湖で釣った外来魚の再放流を禁止する条例を施行。回収ボックスなどを設置しており、回収量は平成15年度の9・6トンから21年度は18・2トンに倍増した。
ところが、戦時中に毛皮をとるために輸入され、西日本を中心に繁殖地域を拡大させているヌートリアが琵琶湖の水辺に住みつき、21年以前は目撃例が2件しかなかったのに、22年は1年間で9件と急増。周辺で農作物の被害が懸念されている。
植物では、繁殖力が極めて強い多年草のナガエツルノゲイトウ、北米原産のオオキンケイギクやアレチウリ、中南米原産のミズヒマワリなど水辺に生える植物が生息域を広げた。
こうしたことから、県は来年度、駆除のためのボランティア部隊を計画。希望者を対象に外来種の見分け方や駆除方法などの学習会を開き、駆除の趣旨に賛同した人をエイリアン・バスターとして登録する。当初予算案に事業費約200万円を計上する予定だ。
ボランティアは日頃から動物を警戒し、駆除に必要な道具を県が貸し出す。ヌートリアの捕獲にはネズミ捕りを大きくしたような「ハコわな」が有効で、複数用意する。植物はまとまって駆除できるため、日を決めてボランティアを集め、それぞれの植物に適した駆除を一斉に行う。
県自然環境保全課は「自治体の駆除だけでは外来生物の増加に追いつかない。エイリアン・バスターを通じて琵琶湖を守るための輪を広げていきたい」と意気込む。