集団移転跡地活用 事業者撤退の荒浜地区6区画、仙台市が再募集

仙台市は東日本大震災に伴う防災集団移転跡地の利活用事業で、昨年11月に事業者が撤退した若林区荒浜地区の区画(計17万9290平方メートル)の再募集を3月上旬に始める。荒浜地区は複数の震災遺構があり、沿岸5地区で進める事業の象徴的エリア。市は当初の3区画を6区画に分けて応募しやすくし、6月上旬の事業者決定を目指している。
 市のホームページに応募要領を載せた。再募集する区画は地図の通り。貞山堀の東側に1区画、西側に5区画ある。今月25~29日に応募要領への質問を受け付け、3月8~12日に事業提案書を提出してもらう。外部の専門家を交えた選定委員会で内容を審査し、事業候補者を決定する。
 荒浜地区では、避難の丘の南側にある区画でJR東日本グループの仙台ターミナルビル(青葉区)が、体験型観光果樹園を3月にオープンさせる。貞山堀西側と震災遺構荒浜小の周辺の区画でも市民農園や養鶏所などが計画されている。
 一方、一般社団法人「仙台スポーツネットワーク」(若林区)が設立した新会社は当初の3区画に野球、サッカー、キャンプが楽しめる施設の整備を計画したが、新型コロナウイルスの影響で、資金調達が困難になったとして撤退した。
 利活用方針が白紙に戻った移転跡地は、事業対象の43・8%を占める。3月の震災発生10年の節目を前に、復興事業が後退する事態となった。市は早期の利活用決定のため、区画を細分化して再募集する。
 沿岸部の移転跡地は宮城野区南蒲生、新浜の2地区計4区画(計1万790平方メートル)も期限を定めず、事業者を常時募集している。

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