国が2024年度に始める電力市場の新制度で、最大1・6兆円の国民負担が生じることになった。7月にあった新市場の入札結果が今月公表され、価格が当初想定の1・5倍に膨らんだ。国側は「想像していなかった」と戸惑い、制度ルールの一部見直しを始めた。 【写真】将来の発電所能力を確保する容量市場のしくみ 1・6兆円は最終的に電気料金で回収されるため、単純計算だと1キロワット時2円の上昇要因。平均的な家庭(月260キロワット時)の場合、1カ月500円ほどの値上げにあたる。 新設されるのは、発電所の設備を確保する「容量市場」。将来の電力不足を防ぐために発電所の維持・建設費を捻出するしくみだ。4年後の24年度に必要な容量(約1・8億キロワット分)の初入札が7月にあり、発電会社が参加した。 当初予定の8月末から遅れて9月14日に公表された落札結果によると、価格は1キロワット1万4137円。新規建設に必要なお金をもとに国がはじいた指標価格1キロワット9425円の1・5倍で、上限にはりついた。国民全体での負担は1・6兆円に達し、再生可能エネルギーの負担金(今年度約2・4兆円)の70%近い水準で、消費税率の約0・6%分になる。