東北電力は30日、自社で確保できる今冬のピーク時の電力供給力が1300万キロワット程度にとどまる見通しと発表した。太平洋側の火力発電所など東日本大震災で被災した施設は一部復旧できるものの、昨冬の最大需要(1470万キロワット)には届かず、今夏に続いて東京電力から融通を受けて乗り切る方針。計画停電は原則として実施しない考え。
海輪誠社長は同日の定例記者会見で「(電力需給は)非常に厳しい状況が続く。(今冬も)利用者には無理のない範囲での節電を要請したい」と述べた。東北電は企業活動の回復状況や震災の影響などを考慮した今冬の電力需要見通しを、10月以降に公表する予定。
被災した火発では、新仙台1号機(仙台市宮城野区)、東電と共同出資する相馬共同火力新地発電所(福島県新地町)の1、2号機、常磐共同火力勿来発電所(福島県いわき市)7号機が来年1月までに順次復旧する。
7月の新潟・福島豪雨で被災し停止中の水力発電所の復旧も急ぎ、今冬までに計約160万キロワット分の供給力を積み増し1300万キロワットを確保する。
来年夏までには仙台火力4号機(宮城県七ケ浜町)などを復旧させ、さらに計約150万キロワットを積み増す。原町火力1、2号機(福島県南相馬市)は設備被害が大きく、復旧は2013年夏ごろになる見込みという。
今夏の節電実績も公表した。管内の最大使用電力は8月9日午後2時台の1246万キロワットで、猛暑だった前年のピーク(1557万キロワット)に比べ311万キロワット減った。東北電は減少分のうち企業や家庭の「節電効果」を約110万キロワットと推計。約130万キロワットは企業の生産低下など「震災の影響」で残る約70万キロワットは気温が昨夏より低かった影響とみている。