電動化の流れに拍車=脱ガソリン車、地方の「足」に影響も

2030年代半ばにガソリン車の新車販売が禁止される方向になったことを受け、自動車メーカーでは、「電動化」の動きに拍車が掛かりそうだ。

 ただ現在の技術では、電動車の生産コストはガソリン車より割高。価格が上昇し、自動車が「生活の足」として不可欠になっている地方を中心に、消費者への影響が懸念される。

 国内の自動車メーカーでは、トヨタ自動車が25年ごろまでに全車種に電動車モデルを投入すると表明するなど、各社とも電動車の販売割合を高める目標を既に掲げている。新たな規制の浮上に対しても「目標に向け粛々と実行する」(マツダ)との構えだ。

 しかし、ある大手メーカー幹部は「完全にガソリン車をなくすのはどのメーカーも不可能」と本音を漏らす。

 理由の一つが、電動車の生産コストだ。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に搭載するリチウムイオン電池は価格が高く、電動化が進まない大きな要因になっている。今後大きな技術革新がなければメーカーは採算が取れず、車両価格の上昇も不可避となる。

 特に、燃費の良さと低価格を売りにしてきた軽自動車にとって価格の上昇は死活問題。関係者は「地方では『一人一台』の自動車保有が前提となっており、(軽の値上げは消費者の)痛手となりかねない」と危惧する。

 運輸業界からも懸念の声が出ている。大型トラックは乗用車ほど電動化が進んでおらず、「現行のトラックと価格や走行距離などの面で遜色ない代替手段がないと難しい」(トラック業界関係者)という。

 将来的にガソリン車が下火になれば、給油所も変わらざるを得ない。石油元売り業界の関係者は「需要に見合った生産体制に変える必要がある」と指摘、「給油所のサービスも変わっていく」との認識を示した。 

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