電子たばこは有害、WHO報告書「疑いの余地なし」

AFP=時事】国連(UN)の世界保健機関(WHO)が21日、電子たばこが使用者だけでなく、電子たばこから出る蒸気にさらされる第三者にも害を及ぼすとの報告書を発表した。WHOは、電子たばこは成長過程の胎児の健康や10代の若者の脳に影響を及ぼす可能性があると警告している。

 正式には「電子ニコチン送達システム(ENDS)」と呼ばれる電子たばこは、メーカーおよび一部の政府から、従来のたばこのより安全な代替品、さらには禁煙のための手段として推奨されてきた。

 だが、WHOは電子たばこについて強い表現を用いたQ&A形式の報告書の中で、電子たばこが喫煙者の禁煙を助けると主張するのに十分な証拠はないが、安全でないことを示す明らかな証拠はあると指摘した。

 また、「電子たばこが健康に有害で、安全でないことは疑問の余地がない」「電子たばこの使用や電子たばこへの暴露の長期的影響について明確な答えを提供するのは時期尚早だ」とも強調している。

 WHOはさらに、電子たばこの青年期での使用は特に危険性が高いと指摘している。報告書では、ニコチンは常習性が高く、若者の脳は20代半ばまで成長し続けるため、「ニコチンへの暴露は長時間にわたって損傷作用を及ぼす恐れがある」と記された。

 若者の間で電子たばこの人気が急上昇している中、こうした懸念が世界的に高まっている。さらには、電子たばこの使用がより有害な製品から10代若者を遠ざけていることを示す証拠はほとんどなく、逆に従来型のたばこの喫煙につながっていることも指摘された。

 今回のWHO報告書について、一部の専門家からは怒りの声が上がっている。英ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London)たばこ依存研究部門を統括するピーター・ハジェク(Peter Hajek)氏は、これを「反電子たばこ運動」と表現した。

 ハジェク氏はツイッターへの書き込みで、報告書には誤りが数多く含まれており、「デマ情報を用いて、喫煙者がより危険性の低い代替品に切り替えることができなくなるようにした責任を取るべきだ」と非難した。この書き込みは、米たばこ大手フィリップモリス(Philip Morris)にリツイートされた。

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