電子情報技術産業協会(JEITA)は14日、薄型テレビなど電子機器について、日本メーカーの国内生産比率が金額ベースで2008年の35%から11年に29%に減少するとの見通しを発表した。円高に加え、韓国メーカーなどとの国際競争が激化するなか、より人件費が安く、優遇制度も整った海外に拠点を移転する動きが加速。生産の“空洞化”が一層進みそうだ。
「主要工場は国内に残さないと、技術革新ができず、(日本が)次第に弱くなる」
JEITAの下村節宏会長(三菱電機会長)は15日開いた記者会見で、日本メーカーの現状についてこう指摘。税制や貿易自由化など世界水準の事業環境の早期整備を訴えた。
JEITAによると、電機製品や電子部品の国内生産額は11年に10年の見込み額に比べて8%減の15.7兆円に止まる見通しだ。特に10年の国内需要を支えた政府の家電エコポイント制度が来年3月で終了することから、薄型テレビの反動減は避けられない。薄型テレビの世界生産額は新興国を中心に伸びているにもかかわらず、日本メーカーによる国内生産額は11年に前年比6%減の2兆2878億円と、マイナス成長を記録する見込みだ。
エコポイント制度終了の影響は大きく、「日本メーカーの生産シェアが低下する」(下村会長)ことにもつながる。JEITAのまとめでは、10年の43%から11年に40%に低下するとの見通し。海外各国では、多くの国で韓国勢が大きなシェアを握っており、「国内だけが強い」(アナリスト)日本メーカーはさらに苦境に立つ形だ。下村会長は「新興国での機能を絞った低価格機種と、先進国の高付加価値モデルの両面でシェア回復を目指す」と巻き返しを強調した。
一方、携帯電話は先進国を中心にスマートフォン(高機能携帯電話)が伸びるほか、アジアや中南米での需要増もあり、世界生産額は前年比5%の13兆8392億円と順調に伸長する見通しだ。ただ、こちらも国内での生産額は伸び悩む。(森川潤)