電気自動車の時代到来?――コンパクトからスポーツまで

今月21日、トヨタ自動車とテスラモーターズの業務提携が発表された。テスラは拠点をシリコンバレーに置く電気自動車ベンチャーだ。また、最近は日産の電気自動車「リーフ」に関するニュースも多い。
電気自動車が本格的に普及する時代がやってきたのだろうか?
テスラは2人乗りのオープンカー「ロードスター」を2008年からアメリカで販売している。価格は約10万ドル。今年から日本でも発売が開始され、高性能版「ロードスター・スポーツ」の価格は1810万円だ。
アメリカでは、トヨタ・プリウスなどハイブリッド車に乗るのがステイタスとされていたが、今度は電気自動車ということで、ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオやブラッド・ピットなど、数多くの有名人(セレブ)がテスラ・ロードスターを購入するなど、大人気だ。
航続距離(充電1回で走れる距離)380km、最高速度200km/h、加速はスーパーカー並(96km/hまで4秒弱)と高性能。シリコンバレーの会社らしく、バッテリーはノートPC用規格のリチウムイオン電池を6831個搭載している。
また、セダンタイプの「モデルS」も 2012年に発売が予定されている。7人乗りで、航続距離は260km、370km、480kmと3タイプ、価格は6万ドル前後の予定。
この個性的で先進的なクルマづくりがテスラの強みだ。
では、日本の大手自動車会社による電気自動車はどうなのか。量産、一般販売という点で、やはり三菱の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」と日産の「リーフ(LEAF)」に注目したい。
三菱自動車のi-MiEVは、軽自動車で4人乗り。実際の航続距離は80~120km程度とのこと。今年4月から個人向け販売が開始され、価格は398万円、国の補助金で実質284万円だが、基本的にはリースとなる。
日産自動車のリーフは、今年12月発売予定で、予約はすでに始まっている。5人乗りで、航続距離は160km、最高速140km/h。価格は376万円、補助金で実質299万円だ。
どちらも充電時間は0%の状態からだと、急速充電(80%)で30分程度、家庭の200Vなら 100%まで7~8時間。
充電は自宅か、充電スタンドで行う。日本では、充電器はCHAdeMO(チャデモ)という規格に統一され、両社とも全国への設置を進めている。
さて、航続距離はガソリン車(500kmが目安)に比べてかなり短いが、買い物や通勤での使用の場合、毎日家か会社で駐車中に充電できるので、利便性の面で全く問題にならないドライバーも多い。むしろ電池を増やして航続距離を伸ばしても、車体が重たくなるので無駄が多いのだ。
また、価格も高いが、行政からの補助金や、維持費(ガソリンより電気のほうが安い)などを考慮とすると、トータルのコストはガソリン車に近づきつつある。
走行性能に関しては、電気モーターの特性上、力強い加速が期待できる。
とはいっても実際は、大手の自動車メーカーもまだまだ様子見の状態。(プラグイン)ハイブリッド車や燃料電池車も併存していくとの見方が多い。
しかし、都市内での利用など、電気自動車が有利な点が多いことも事実。
電気自動車が各家庭に普及したら、最も大きな”家電”となり、夜間電力を蓄える電池として使う構想(スマートグリッド)もあったりと、電気自動車の可能性は大きい。
さらに、ガソリン自動車に比べて電気自動車は部品が少なく構造が単純なので、アメリカだけでなく、新興国でも多くのベンチャーが誕生している。品質面では日本の大手自動車会社には及ばないものの、今後、世界中で新たな電気自動車会社が成長してゆく可能性も大きいのだ。
電気自動車は自動車が登場した初期の頃から存在していたが、ガソリン自動車の普及に伴い姿を消していった。それから約100年後の今、電気が主役の座を奪うことになるか。
何年先のことになるかわからないが、次はぜひとも電気自動車を買いたい。
(もがみ)

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