東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた広告最大手「電通グループ」(東京都港区)に対し、検察側は18日、東京地裁の公判で罰金3億円を求刑した。同じく独禁法違反に問われた電通元スポーツ事業局長の逸見(へんみ)晃治被告(57)は懲役2年が相当とした。 【図解でみる】電通と組織委の“交渉内容”と契約金一覧 起訴状によると、逸見被告は、組織委員会大会運営局の森泰夫元次長(57)=独禁法違反で有罪確定=や広告・イベント各社の幹部と共謀し、2018年2~7月ごろ、組織委が発注したテスト大会の計画立案業務(総額約5億円)や本大会の運営業務(総額約432億円)について受注調整して談合したとされる。 検察側の冒頭陳述によると、電通側は、テスト大会の準備に協力すれば、本大会の運営業務も優先的に受注して利益を確保でき、大会終了後のスポーツビジネス拡大に利用できると考えたとされる。森元次長や逸見被告らは各社の担当者から受注希望の競技・会場を聞き取り、入札を割り振ったという。 一方、弁護側は、テスト大会の計画立案業務での受注調整は認めたものの、本大会の運営業務については「組織委の求めに応じただけで、不当に利益を得る目的はなかった」と起訴内容を争っている。 事件を巡っては、電通を含む広告・イベント6社と各社の役員ら7人が起訴されている。このうち「博報堂」は罰金2億円、博報堂のグループ会社前社長は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡されており、いずれも控訴している。【北村秀徳】