震災で被災した仙台・蒲生北部の引き渡し完了 被災宅地の再生に一区切り 市有地全37区画

東日本大震災で被災した仙台市宮城野区の蒲生北部地区で5月、市が土地区画整理事業で整備した市有地全37区画(計約32ヘクタール)の事業者への引き渡しが完了した。保留地の68区画(計約6ヘクタール)の販売先もほぼ決定。防災集団移転促進事業で買い取った被災宅地などを産業用地に再生させるプロジェクトは一つの区切りを迎えた。

 市は昨年9月、市有地最後の1区画(0・3ヘクタール)の事業候補者として、奥洲物産運輸(東松島市)を選定。契約手続きを経て今年5月2日に引き渡した。

 市有地37区画に進出した事業者は33事業者で、契約形態は譲渡が25、貸し付けが8。業種は運送や倉庫といった物流関係が19社で全体の6割近くを占め、卸売・小売、廃棄物処理、自動車整備の3業種が各3社、製造業が2社で続いた。

 エネルギー関連では、食品廃棄物を発酵させたメタンガスで発電する「東北バイオフードリサイクル」(宮城野区)、木質バイオマス発電所の「杜の都バイオマスエナジー」(同)のプラントが整備された。

 震災前に1149世帯3092人が暮らした蒲生北部地区は震災後、人が住めない災害危険区域に指定され、住民のほとんどが市内に集団移転した。市は区画整理事業で工業用地に再編し、2017年2月に市有地を利活用する事業者の募集を始めた。

 市は助成金制度を創設するなどして立地推進を図った。仙台港に隣接し、三陸沿岸道のインターチェンジにも近く、当初から運輸業者からの引き合いが多かった。

 市企業立地課の担当者は「交通の利便性が良く、需要の高い場所ではあったが、全ての市有地で利活用が決まって安心した。引き続き貸し付けの管理などを行い、仙台港の利用促進など市の発展につなげていきたい」と話す。

 保留地のうち2区画の利用が未定。市は今後、事業者を募集する。連絡先は市財政企画課022(214)8068。

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