震災後一年で年収減少約3割、それらの人の「買い物」「外食」控えは過半数

ライフネット生命保険は2012年3月28日、東日本大地震・震災後における意識や行動の変化に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、震災後の1年間で年収が減った人は3割近くに達していることが分かった。増えた人は5%にも満たない。また年収が減った人は過半数が買い物や外食を控える傾向を強めており、社会全体の消費性向減退が懸念される結果が出ている(【発表リリース】)。
今調査は2012年2月14日から20日にかけて携帯電話を利用したインターネット経由で20~59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は6000人。世代構成は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。男女比は1対1。
2011年3月の東日本大地震・震災以降ほぼ1年が経過した調査時点で、震災直前と比べて年収がどのように変化したかを聞いた結果が次のグラフ。増えた人は4.7%に過ぎず、減った人は28.2%にも達している。
↑ 震災後1年間での世帯収入の変化
↑ 震災後1年間での世帯収入の変化
1年間という短い期間での年収変化なことから、通常の昇給・減給というよりは、多分に震災を起因としたものと考える方が道理が通る(特に減給)。販売の減退や物理的被害の回復のための経費、さらには節電の影響に伴う利益減少など、多数の要因が想定される。さらに「減った」は「”ゼロに”減った」も含まれ得るので、1年の間に失職してしまった人も考えられる。
年収が減った3割近くの人に限定し、どのような消費行動を中心とする金銭周りの変化があったかについて、当てはまるものを答えてもらったところ、「買い物」「外食」を控えるという選択肢に同意を示した人が過半数に達していた。
↑ 世帯年収減少に伴う行動変化(年収減少者限定)
↑ 世帯年収減少に伴う行動変化(年収減少者限定)
要は目立つ支出、削減が容易に可能と思われる支出を減らすことにまず注力が置かれ、次いで減らすのに少々労苦がかかる「固定費」の削減に手がかかることになる。それでも足りなければ収入を増やすしか無く、副業・アルバイトを手掛けざるを得ないという「お金への対処」の順番が見て取れる。
お財布事情が厳しくなると、外食がやり玉に挙げられるのは何度となく紹介している。外食産業全体としての低価格化傾向もあるが、【減少する外食、でもハンバーガーは…世帯単位での外食などの利用性向推移をグラフ化してみる(2011年分反映)】を見ても景気低迷のタイミングで外食費が大きく減っているのが確認できる。
逆に年収が増えた人では買い物の頻度を増やしたり、外食機会を増加させる可能性もあるが(こちらの調査項目は無い)、「増えた派」は「減った派」の1/6しかいない以上、どちらがより大きな影響を市場に与えるかは明確。冒頭にもある通り、小売市場全体、特に外食系の委縮が懸念される状態にあるのが分かる調査結果といえよう。

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