震災復興 住宅金融支援機構・宍戸信哉理事長に聞く

住宅金融支援機構の宍戸信哉理事長は仙台市内で河北新報社の取材に応じ、東日本大震災からの復興に向け被災者の住宅再建支援に力を入れる方針を説明した。被災者以外の住宅建設を促す必要性も指摘し、「住宅産業は裾野が広く、着工数を増やすことで国内経済全体の活性化につながる」と強調した。(聞き手は山形泰史)
 ―当初5年間を無利子にする被災者ら対象の災害復旧住宅融資は9月末時点で、東北の申し込みが1532件に上ります。
 「融資の実行額で見ると、東北は91件の計11億3260万円。全国(117件)の77.8%を占める。地震と津波に原発事故も加わって住宅再建に踏み出せないなど、立ち上がりは遅い」
 「被災地では(自治体の復興計画が策定されつつあるなど)土地利用の話がようやく本格化してきた。融資制度の利用が増えるのは、仮設住宅からの移転を真剣に考えるようになる2年後ぐらいになるのではないか」
 ―融資制度の予算措置は大丈夫ですか。
 「政府が閣議決定した第3次補正予算案で(これまでの1万戸分に加え)2万5000戸分が計上された。2012~13年度融資分に充てられる予定だ」
 ―被災者以外への住宅建設支援策は。
 「長期固定金利型住宅ローン『フラット35S』の金利引き下げは9月末で終了したが、3次補正予算案にその復活も盛り込まれた。震災被害の大きい岩手、宮城、福島3県は通常0.7%の下げ幅が1%に拡大される」
 「復興には東北全体への景気刺激が不可欠だ。(優遇制度によって着工を増やせる)住宅産業の果たす役割は大きい」
 ―機構の役割をどう考えますか。
 「機構には二つの顔がある。フラット35などの債権を証券化する際の支援事業は民間に近い。これに対し災害復旧住宅融資は公的側面が強く、復興には公的役割への意識を高める必要があると感じている。行政、金融機関との連携を強めたい」
 ―出身地の塩釜市も被災しました。
 「義兄が自宅を流されるなどした。震災時に理事長を務めていることに因縁を感じる。被災者には高齢者も多い。職員には時間がかかってもいいので丁寧に対応するよう指示している」

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