青森県の八戸港に水揚げされるサバが、3年ぶりに「八戸前沖さば」とブランド認定された。高水温の影響などで近年不漁が続いたものの、今季は数量や脂乗りが増えたことから、認定団体が条件を満たすと判断した。関係者は「サバに関わるさまざまな仕事に波及効果が出る」と期待する。
11月末で約1800㌧ 波及効果に地元期待
前沖さばは、三陸沖で漁獲して八戸港に水揚げされたサバで、魚体の脂肪分15%以上が目安となる。八戸商工会議所などでつくる「サバのまち八戸協議会」が11月28日、(1)水揚げ量(2)脂肪分(3)1匹当たりの重量-を考慮し、同21日の水揚げ分にさかのぼって認定した。
11月末時点の認定数量は約1800トン。前沖さばのうち、550グラム以上の大型はプレミアムブランド「銀鯖(ぎんさば)」と呼ばれる。2022、23年度は不漁で、前沖さばのブランド認定は見送られていた。
秋季から冬季にかけ、サバは寒流の親潮により北海道方面から南下する。今季の水揚げが増えた背景について、協議会の野田一夫会長(63)は岩手県宮古沖付近で周辺より水温が高い「暖水塊」が発生し、「魚の回遊ルートが変化した」と指摘。サバが南下せず、八戸周辺の近海にとどまっていると分析した。
野田会長は認定を喜び、「海水温が高い状態は変わらず、どれだけ口にできるかは分からない。サバが取れる時に楽しんでもらいたい」と述べた。