青森県、大玉サクランボ初出荷へ 糖度20%高級感前面に 山形も23年新品種投入

青森県は今年、500円玉よりも大きいサクランボの新品種「ジュノハート」を初出荷する。サクランボは贈答品が主力のため高級感をアピールし、果物店だけでなくブライダルや宝飾業界へ売り込む考えだ。国内生産量日本一の山形県も2023年ごろに大玉の新品種を売り出すことにしている。
 ジュノハートの特徴は大きさと、名前の由来にもなったハート形。サクランボは大きさによって6段階に分かれるが、ブランドを保つため一番大きい4Lと3Lのみを選別して市場に出す。糖度も約20%と甘みが強い。
 青森県では南部町などでサクランボ栽培が行われているが、全国的な知名度は低い。県は見栄えの良さと食べ応えを追求し、1998年から大玉の新品種を作ろうと交配を始め、ジュノハートが出来上がった。
 県は4月下旬、大きさが4Lで色づきなども優れたものを「青森ハートビート」のブランドで売り出すと発表。高品質をPRし、県産全体の需要拡大を狙う。
 サクランボのシェア約75%を誇る山形県でも大玉で甘みの強い新品種「C12号」が開発された。実が硬めで日持ちするため、将来的に海外進出も視野に入れているという。担当者は「同じ品種なら大きいほどおいしいとされる」と指摘する。
 山形県によると、大型化は生産者の省力化にもつながるという。中間的なLサイズだと1キロで出荷するために約140個必要なのに対し、C12号は約80個。収穫時期も強みで、主力品種「佐藤錦」と「紅秀峰」の間となる6月下旬から7月上旬がピークだ。作業を分散でき店頭に新鮮で高品質のものを並べられる。
 山形県の担当者は先行するジュノハートに対し「まずは青森の販売ルートに注目したい」と話す。青森県は「山形は横綱。ジュノハートならではの顧客をつかみたい」とライバル心を燃やす。

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