10日、千葉県の沖合で女性が救助されました。この女性、実は8日に静岡県の海で流され、10日になって救助されました。約80キロ、37時間にわたって流されましたが、命に別条はないということです。どんな状況だったのでしょうか。
10日、千葉県の沖合を飛ぶヘリコプターから撮影された、横須賀海上保安部の映像が公開されました。手でサインを送り合うのは、海上保安庁の特殊救難隊です。海上に浮かぶ船の真上につけると隊員が降下していきました。
船で待っていたのは青いタオルに包まれた女性。8日の夜、海で泳いでいたところ沖に流されてしまい、海上保安部などが捜索していたのです。
約37時間にもわたった漂流。肩を支えられながらも女性は自分の足で立ちます。
ヘリコプターに引き上げられると手をふるようなようすもみせていたこの女性。見つかったのは千葉県の南、11キロほどの海上です。
ただ、女性が行方不明となったのは静岡県下田市の海水浴場。直線距離で約80キロも離れた場所でした。
いったい何があったのでしょうか。
8日の夜…
通報(8日夜)
「一緒にいた友人が海に入った後、戻ってこない」
海で遊んでいた20代の中国人女性が沖に流されたとの友人の通報を受け警察と消防、海上保安部が付近を捜索。しかし、女性を見つけることはできず、行方不明になっていました。
水難事故の専門家によると、事故の起きた海域は黒潮という大きな潮の流れがあり、女性はそれにのって千葉県の沖合まで流されたとみられます。
そして、千葉県沖を航行していた貨物船が浮輪に体を入れた状態で漂流している女性を発見。付近を航行していた別のタンカーが貨物船から連絡を受けて駆けつけ、乗組員2人が海へ飛び込み女性を救助しました。
その後、海上保安部のヘリで女性を病院に搬送。脱水症状がありましたが、意識ははっきりしていて命に別条はないということです。
広大な海で約37時間もひとりで漂流し続けた女性。専門家は奇跡の救助だと話します。
水難学会 斎藤秀俊理事
「(発見された付近は)貨物船の行き来が頻繁なところ。船にぶつかることなく、運よく発見されたというところは奇跡と言っていいと思います」
そして、助かったのには2つのポイントがあったと指摘しました。
水難学会 斎藤秀俊理事
「浮輪をつけていて呼吸がきちんと確保できたこと。(今の時期)海水温で26度くらい。すぐに(命の危機に)直結するような水温ではなかった」
海で遊ぶ際に気をつける点については…
水難学会 斎藤秀俊理事
「浮輪は必ず足の届くところで使ってほしい。(夏は)夕方から夜にかけて山から海に向かって風が吹く。夕方遊んでいると結構危ない。浮具つけてあっという間に沖に流される時間帯になりますので、風が山から吹く時間が夕方なんだときちんと頭の中に入れておいてほしい」
(7月10日放送『news zero』より)