静岡市が「電力の地産地消」事業 家庭で余剰の太陽光電力買い取り

静岡市は、家庭で発電した太陽光電力の余剰分を買い取る「電力の地産地消」事業を始める。家庭用太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)が11月以降に順次終了することを受けた取り組みで、9月ごろから募集を開始する。買い取った電力は小中学校のエアコンなどに使われる予定で、市は「使い道を明確にすることで、市民の市政参画意識の向上につなげたい」としている。

 FITは再生可能エネルギーを一定価格で電力会社が買うよう義務づけた制度だが、家庭用太陽光については11月以降、10年の買い取り期限が切れる家庭が出始める。各家庭が引き続き余剰電力を売るには、新たに売電先を探す必要がある。市によると、今年度でFIT期間が満了する家庭は市内に約3500軒。市は「FIT切れ」の新たな売電先候補となることを狙う。

 市は買い取り価格を民間と同程度の1キロワット時10円に設定。小売り電気事業者の鈴与商事(清水区)に電力の買い取りや配電の業務を委託する。買い取り期間は2024年3月末まで。

 市は各家庭から買い取った電力を、エアコンの導入が進む市内の公立小中学校に活用する方針だ。今年度に小学校、来年度に中学校の全教室にエアコンを整備することが決まっており、年間約75万キロワット時の消費電力の増加が見込まれる。売電の申し込みが500軒あれば年間150万キロワット時になると推計しており、200~300軒の家庭が太陽光発電の余剰電力を売電すれば学校でのエアコン使用の電気量分はまかなえるとしている。

 市は17年度から西ケ谷・沼上両清掃工場のごみ焼却で発電している余剰電力を庁舎や病院など市内279の公共施設で既に利用している。両工場の昨年度の年間余剰電力量は約6970万キロワット時で、対象施設の消費電力の約5割をまかなっている。

 市の担当者は「電力の地産割合を増やすことで、環境に優しい電力が供給できる。地元で発電された電気を地元施設で使うという『環境教育』にもつなげたい」と話す。【高場悠】

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