韓国「鬼滅の刃」で“旭日旗”に非難、Netflixで「炭治郎の耳飾り修正」のご都合主義

「戦犯国である日本の歴史を」と

 日本の歴代アニメーション映画の興行記録を塗り替え、伝説となった「鬼滅の刃」が韓国反日勢力の“旭日旗”議論の矢面に立たされている。Netflixはその圧力に抗しきれなかったのか、一部を改変することになった。反日不買を訴えつつ、都合よく選択して日本製品を消費する韓国側の欺瞞が露呈し続けている。

【写真】売れ行きは芳しくないという

 劇場版の韓国公開に先立ち、主演・炭治郎の耳飾りに対して非難の声が上がった「旭日模様」について、Netflixでも同じ論議が巻き起こった。

 当のNetflixは、修正版をホームページに再アップロード。

 3月6日、韓国の聯合ニュースは、インターネットなどで民間外交を行う韓国の市民団体VANKが、「耳飾り」だけではなく戦犯国である日本の歴史をしっかりと説明するようNetflixに要求したと報じている。

Netflixでも耳飾りが変更された

 市民団体のいつもの無軌道な反日ぶりには呆れる他ないが、韓国の「旭日旗パラノイア」の実態はどうなのか、経緯や経過と議論を探ってみよう。

 韓国で「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は1月27日に公開された。

 公開初日の観客数は6万6581人、ボックスオフィス1位、座席販売数1位。映画市場の1日あたりの観客数で、最も高い数値を記録した。
 
 新型コロナウイルスの拡散で映画業界が下降局面にあり、加えて、反日ムードが蔓延するなか、予想外に興行をリードしたわけだが、「鬼滅の刃」には韓国公開前から多くの論争が巻き起こっていた。

コミック版で耳飾りは変更されていない

 なかでも主人公・炭治郎の耳飾りが、韓国で“戦犯旗”の汚名を着せられている旭日模様に似ているという非難は大きいものだった。

前代未聞のデザイン修正

 愛国を自負する韓国人らは、海外の各種ファッションブランドやスポーツゲームなどに旭日模様が現れると、「戦犯国家の野心」という歴史的根拠がない反日運動を国際社会で続けてきたが、炭治郎の耳飾りも「旭日旗狩り」の対象にされてしまった格好だ。

 韓国のネットユーザーは、「日本のアニメに狂ったのは百歩譲るとして、旭日模様が登場する内容でも見るのか」「コロナ禍でも、劇場で戦犯国家の象徴である旭日旗が登場するアニメを見るべきなのか」などと反発し、批判を展開した。

市民団体VANKのホームページ

 韓国メディアも、「歴代1位の漫画に『旭日旗』…。国内封切りを控えて右翼論争」(ヘラルド経済・1月23日)などの記事を掲載し、「鬼滅の刃」攻撃を煽った。

 結局、制作・配給サイドは、「旭日模様」を「横線」に修正。他の国では全く見られない「主人公の耳飾りのデザイン修正」という前代未聞の事態に発展したことになる。

 3月に入ってから、今度は「Netflix」が騒動に巻き込まれた。

 Netflixのサイトに掲載された「鬼滅の刃」で、“旭日旗耳飾り”がそのまま使われたと批判する声が相次いだのだ。

 韓国のネットユーザーは、炭治郎の耳飾りに「旭日旗模様が堂々と表れている」と糾弾する声を上げ、SNSで発信・共有。

 一部は「旭日旗を見つけ出す」として、他のストリーミングサイトの耳飾りの形を一つ一つ分析し、「Netflixだけが旭日旗耳飾りを修正しなかった」と批判した。

 Netflixは、韓国での騒動を意識したのだろう、メイン画面を炭治郎の耳飾りを修正したイメージに変えることになる。

 劇場版に続いてNetflixも、韓国の「旭日旗狩り」の犠牲になったのだ。

「旭日旗=戦犯旗」という運動

 よく知られるように、韓国の「旭日旗への過敏反応」と「旭日旗狩り」は、1日や2日で始まったことではない。

 旭日旗が「日本の植民地支配当時の朝鮮総督府の日の丸を連想させる」という幻想に囚われた韓国人らは、旭日旗を「日本帝国主義の野望を明らかにする旗」だと批判してきた。

 第二次世界大戦当時の「独裁」と「大虐殺」で悪名高いナチス党の象徴「ハーケンクロイツ」と同種だと声を上げる人すらいる。

 旭日旗を糾弾する学者や団体が登場し、2000年代初めから「旭日旗狩り」が始まった。

 2000年、国民歌手ソ・テジが、6枚目のアルバムタイトル曲のミュージックビデオに旭日旗の模様を描いたことを追及され、国民に謝罪。

 05年にはKBSが、ある芸能番組で放送した日本風の美容室紹介映像に盛り込まれた旭日模様がデモの対象となり、謝罪放送を流した。

 07年に、日本の海上自衛隊の艦艇3隻が旭日旗を掲げて仁川港に入港すると、仁川市民団体が旭日旗を燃やして抗議した。

 韓国の「旭日旗パラノイア」は、不買運動にも発展した。

 09年、「ナイキエアジョーダン12」が靴のインソールに旭日旗の模様があるとして不買の対象にされている。

 昨年10月、日本が生んだ世界的デザイナーの高田賢三氏が死去すると、「旭日旗ファッションデザイナー」と名付け、その死を汚しもした。

「旭日模様」は、豊漁や大漁を導き、謹賀新年にも使われる「豊漁の象徴」だ。

「新年の日の出」や「豊かさの起源」を含む「日本のアイデンティティ」を意味する模様であり、伝統と歴史がある日本固有の文化資産である。

 しかし韓国人は旭日模様を侮辱し、世界各国で「旭日旗=戦犯旗」という運動を繰り広げてきた。

 文在寅政権誕生後の反日運動で「旭日旗狩り」はさらにその性格を色濃くし、韓国人は「鬼滅の刃」を楽しみながら、批判世論を増幅させている。

 日本製品を都合よく選択して消費しながら、「鬼滅の刃」の視聴者に“右翼”や“親日派”の烙印を押す反日思想。

 この“二重人格”に変化がもたらされる時は来るのだろうか。

キム・サラン記者
1987年生まれ。韓国の大学院で言論学と国際政治学の修士号を取得。2013年からメディア企業に勤務。現在はフリーランスとして、日韓問題、韓国政治などについて執筆活動を行う。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月9日 掲載

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