韓国ソウルが大気汚染世界1位 文在寅大統領、中国と協議指示

【ソウル=桜井紀雄】韓国ソウルで微小粒子状物質「PM2.5」による汚染が世界最悪を記録する中、文(ムン)在寅(ジェイン)大統領は6日、中国から飛来するPM2.5の影響を最小限に抑えるため、中国政府と協議して緊急対策を講じるよう指示した。汚染物質を洗い流す人工降雨の中韓共同実施を推し進めるようにも命じた。

 ただ、「汚染物質の大半は中国から飛来した」と“中国悪玉説”に固執する韓国に対し、中国政府は「中国のせいばかりにせず、韓国で管理すべきだ」と不快感をあらわにしており、協力が円滑に進む保証はない。世界的に人工雨の効果は疑問視されており、韓国政府傘下の研究機関が1月に行った人工降雨の初実験でも降雨が確認されないなど、芳しい結果は得られなかった。

 韓国の首都圏では6日、視界がかすみ、6日連続でPM2.5汚染に対する非常措置が発令された。国際的調査機関によると、5日夕時点で都市別汚染度1位がソウル、2位が隣接する仁川(インチョン)。北京は58位だった。

 国の威信に懸けて大気汚染改善に取り組む中国に比べて「韓国はほぼ放置状態だ」(朝鮮日報)と韓国内でも文政権の無策ぶりを批判する声が高まっている。

 文氏は必要なら補正予算を組むことや、稼働30年以上の老朽化した石炭火力発電所の早期閉鎖を検討することも指示した。大統領府は非常措置の発令中、電気・水素自動車を除く業務用車両や職員の通勤での自家用車利用を原則禁じる。

 PM2.5の主因の一つとして全車両の4割以上を占めるディーゼル車の存在が指摘されている。政府や与党は古いディーゼル車などへの規制も検討しているが、政府が環境に優しいとディーゼル車を推奨してきた経緯があり、“朝令暮改”に反発する声もある。

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