韓国メディア、池上彰氏に“難クセ”

日本に批判的な論調が目立つ韓国メディアが、今度は売れっ子ジャーナリストにかみつい た。ニュース解説でおなじみNHK出身のジャーナリスト、池上彰氏(64)が、韓国の国内事情について取り上げた番組の内容が同国で波紋を広げている。大 手韓国紙が、番組内での池上氏の発言を「韓国をおとしめる発言」と問題視。なかには同氏の解説の主旨を取り違えて勝手に憤るなど過剰反応ぶりを示してい る。

韓国がやり玉に挙げているのは、今月5日に放送されたフジテレビ系の特番『池上彰緊急スペシャル!』。池上氏が司会を務めて時事問題などを解説する番組で、この日は「知っているようで知らない韓国のナゾ」と題し、今年で国交正常化50周年を迎える日韓関係を取り上げた。

その中で、池上氏は韓国の建国の経緯に触れ、「日本が(太平洋)戦争に負けて朝鮮半島から引き揚げた後に国がつくられた」「ある種『棚からぼた餅』的に国ができちゃった」などと説明した。

朴槿恵(パク・クネ)政権を中心として国全体が、日本を目の敵にする「反日」ムードに支配されている現状についても言及し、「韓国自身が自信を持てるようになれば、『反日』と今ほどは言わなくなるのかもしれない」と見解を述べた。

こうした池上氏の発言に敏感に反応したのが、大手紙、朝鮮日報だ。

同紙は10日付電子版で、池上氏が韓国の建国の経緯について述べた部分に「常識以下の水準の発言を並べた」「放言」などと反発した。

記事には池上氏の発言を曲解しているところもあり、例えば、4月末の安倍晋三首相による米上下両院合同会議での演説。韓国への謝罪が盛り込まれていなかっ たことに朴大統領が不満を述べたことに関し、池上氏は「アメリカ議会でアメリカの国民向けの演説。そこに『韓国側への謝罪がなかった』と不満を述べるのは いかがなものか」と疑問を呈した。

だが、朝鮮日報は「『米国議会でアジア諸国に謝罪するときに、韓国に謝罪する必要があるのか』と暴言を 吐いた」などと報じた。池上氏が問題としたのは、安倍首相の米国議会での発言にケチを付ける朴大統領の姿勢で、謝罪の必要性には言及していない。番組内で の解説内容とそもそもかみ合っていないのだ。

また、池上氏は、日本と同じ太平洋戦争の敗戦国であるドイツと日本の外交姿勢の違いを取り上げた際、「ドイツの周りの国々は良識ある国だから、謝罪をちゃんと受け入れたんだろうと批判的な言い方をする人もいる」との意見を紹介した。

この発言にも、朝鮮日報は「韓国は教養がなく、日本の謝罪を受け入れてくれる心がないという不合理な主張を繰り広げた」と主張。ほとんど被害妄想といっていい見方でとらえ、批判の材料にしている。

一連の“かみつき”について池上氏はどう思うのか。

夕刊フジが15日、電話で池上氏を直撃すると、「言論の自由、報道の自由、表現の自由がありますから。テレビに出て何か言えばそれに対して批判を受けるのは当然のこと」と落ち着いた口調で、こう続けた。

「歴史学者の中でもそういう風に見ている人たちが大勢いるので、一般的な見方を紹介したに過ぎないということですよね。私が個人的な意見を言ったのではなくて、こういう見方があるんですよということを紹介したまでです」

的外れともいえる批判を受けたことには、「それぞれがメディアとしての言論活動をしてらっしゃるんだなと受け止めております。それについて私からコメントすることはないですよね。批判は自由ですから」と意に介さない様子で終始、大人の対応だった。

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