韓国与党の捏造か “放射能汚染地図”の追跡取材にあきれた言い訳

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与党の制作 あまりにずさんな“日本放射能汚染地図”

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怒りを禁じえないほどの衝撃だった。2019年9月、韓国の与党「共に民主党」の日本経済侵略対策特別委員会は福島第一原発事故による「日本放射能汚染地図」なるものを公開した。

地図は福島第一原発を中心に同心円状に汚染が広がっていて、そのエリア内に「宮城スタジアム」や「福島県営あづま球場」など東京オリンピックの競技会場5つが含まれているというのだ。

そもそも地理的条件や気象条件を考慮すれば、汚染が同心円状に広がることはあり得ない。さらに地図に記載された各競技場の土壌から検出されたという放射性物質「セシウム137」の数値も異様なまでに高くなっている。

そして与党側は会見でこのように主張した。「様々なところで非常に危険だ。この地図を受けてわが政府、外務省はどれくらい(日本への)旅行が安全なのか、旅行する場合はどういうところに気を付けるべきか、検討してほしい」

文在寅政権を支える与党が、このような地図を発表して危険性を煽った背景には、東京オリンピックと放射能問題を結びつける事で、関係が悪化する日本への対抗措置として利用する狙いがあるのだろう。

地図発表を受けて、地元自治体は「不快感」

こうした事態を受けて、宮城県の村井嘉浩知事は翌月の会見で、実際に「宮城スタジアム」の空間放射線率を測定したと発表。国が定める除染が必要な基準が毎時0.23マイクロシーベルトであるのに対して、基準を大きく下回る0.04マイクロシーベルトだったと明らかにした。その上で「いたずらに科学的根拠に基づかない数字を公表することは差し控えていただきたい」と不快感を示した。

さらに宮城スタジアムがある利府町が行った町内23カ所の土壌調査の結果でも、放射性物質の数値は全ての地点で、国が作付け制限としても定める基準値を大幅に下回った。

科学的根拠に基づかないあまりにずさんと言える「放射能汚染地図」だが、制作した与党は土壌の汚染調査などを行っている日本の市民団体「みんなのデータサイト」(福島市)のデータを元にしたと主張した。

市民団体は与党に「抗議」・・・しかし「無視」を貫く

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与党が地図を発表した翌日、会見で突如、名前を出された「みんなのデータサイト」側はHP上で「事前に与党から連絡・確認がなかった」と明らかにした上で「合致する数値を見つけることはできなかった」と発表。与党に事実確認を求める申し入れ書を提出した。「みんなのデータサイト」の主張を踏まえると、与党は地図自体を捏造した可能性が出てくる。

しかし申し入れ書が提出された後も与党側は一向に反応を示さなかったため、真偽を確認するためFNNでは会見の翌月、地図を発表した与党「共に民主党」のチェ・ジェソン議員(地図を発表した日本経済侵略対策特別委員会の委員長)に取材を申し込んだ。

電話取材のみでも構わないと要請したが、返答は「国会期間中で忙しい」の一点張り。取材に応じる気配はなく「無視」を決め込んだ形だった。与党は現在までに「みんなのデータサイト」側に対しても返答をしていない。(2020年1月22日時点)

ようやく取材に回答・・・しかし“あきれる言い訳”

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年が明けた2020年1月7日、FNNでは改めてチェ・ジェソン議員側に地図の真偽について取材を申し込んだところ、以下の回答があった。その内容は驚くものだった。

チェ・ジェソン国会議員室(1月7日取材時):

『データ発表(地図)は誤っていない。「みんなのデータサイト」の資料だけでなく様々なデータを総合的に反映したものだった。「みんなのデータサイト」が問題にしたのは「(自分たちは)汚染をポイントで表現したが(与党が発表した地図は)汚染を面で表現している」という点だった。私どもは最も高い数値を面で表現したのだ。データを見る上で視覚の差があった。訂正や謝罪の措置は何もしていない』

つまり「地図は誤っていない」と開き直った上で、「みんなのデータサイト」だけでなく、色々なデータを引用して組み合わせたら、あのような地図になったと主張したのだ。地図を発表した2019年9月の会見を改めて確認しても、「みんなのデータサイト」以外の引用元の言及はない。元データの曖昧さを自ら明かした事で、地図の信ぴょう性がさらに下がることは気にしていないようだ。「みんなのデータサイト」の申し入れ書には下記の記載がある。

「同心円状に汚染が広がっていると今回発表された地図は、我々のマップとまったく異なり、我々の情報から作成されたとなっていることは事実に反する。我々のマップは、あくまでも測定地点の汚染度を示すものであり、面的汚染には言及していない」(申し入れ書より一部抜粋)

「汚染」に関するチェ・ジェソン議員側の言及は、これを受けたものだとみられるが、当然ながら「みんなのデータサイト」は面的汚染だけを問題にしている訳ではない。元データの出所の開示や無断使用の経緯などを聞いている。チェ・ジェソン議員側の回答から「みんなのデータサイト」の申し入れ書に真摯に対応しない姿勢が明るみになった。

結局、与党側は地図の根拠を曖昧にしたまま、自らの正当性だけを主張し、訂正や謝罪もせず、このまま時間が経つ中での“既成事実化”を狙っているとしか思えない。

放置すれば国際社会に拡散の恐れ

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現在、韓国内ではこの放射能汚染地図のほかにも、韓国の民間団体がソウル中心部の在韓日本大使館の建設予定地に「放射線防護服の聖火ランナー」のポスターを張り付けるなど、東京オリンピックと放射能問題を絡めた悪質なプロパガンダが続出している。

韓国メディアはこれらの問題を大々的に報じるが、発表内容を伝えるだけで、科学的見地から真偽を検証した社は私が確認する中ではない。このような悪質なプロパガンダを見過ごしてしまうと、いつの間にか既成事実となり、国際社会に拡散する恐れがある。特に今回の地図に関しては、民間の団体ではなく与党が発表したものであり、その責任や影響力はよりは大きい。このまま有耶無耶にすることは決して許されない。日本は毅然とした対応をとるべきだ。

最後に議員側に改めて「原発事故で苦しむ日本の被災者に対して何も思わないのか?」との質問を送ったが、一言「答えられない」と返ってきた。

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【執筆:FNNソウル支局 川村尚徳】

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