アジアから遠く離れた米国で「反日」の狼煙を上げ続ける韓国系ロビー団体。カリフォルニア州グレンデール市では「票」の力により慰安婦像が設置されてしまったことは本誌が報じてきた通りだ。しかし、米国の「本流エリート」相手には彼らの無理筋な主張は通じなかった。ジャーナリストの高濱賛氏が報告する。
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フィラデルフィア市郊外にある全米屈指の名門校、ペンシルベニア大学。広大なキャンパス中央部には古いレンガ造りの芸術文化研究ホール(ARCH)がある。その食堂のステンドグラスが”告発”されたのは今年3月中旬のこと。同大に通う韓国人学生が「旭日旗のデザインが施されている」として写真をフェイスブックに投稿したのだ。
言い分はこうだった。
〈あれはどう見ても日本帝国主義のシンボル。韓国人だったら見ただけで吐き気を催す「戦犯旗」だ。そんな旗が世界でも有数の最高学府にあるとは驚きだった〉
食堂内のステンドグラスの一つには、確かに旭日旗によく似た意匠が施されている。白地に太陽の光を表わす赤い線をあしらった「陸軍御国旗」(1870年制定)をモチーフにしたデザインだ。
フェイスブックに投稿した学生は韓国系学生会幹部らと共にウィリアム・ギプソン副学長(学務担当)ら大学側と面談、問題のステンドグラス撤去を申し入れた。
この出来事を学生新聞「デイリー・ペンシルべニアン」が報じると(書いた記者は韓国系アメリカ人)、同紙ブログには一般学生から「今、なぜこの旭日旗が問題視されなければならないのか」「コリアンよ、少し頭を冷やしたらどうか。伝統ある最高学府であまり非常識で偏狭な態度をとるなよ」と韓国人学生を戒める意見が殺到。ブログを読んだ大学関係者の一人は「アメリカのエリートたちの率直な気持ちが表現されていたと見ていい」と筆者に語った。
数日後、撤去しない方針を固めた大学当局は韓国系学生らを招いて説明し、その理由を伝えた。ギプソン副学長ら大学側はこう述べたという。
「指摘されたステンドグラスにある旗(旭日旗)は1928年に設置されたもので、当時、キリスト教学生協会が世界中に宣教活動を広げたことを示すシンボルの一つである。
この問題について大学側が君たち学生と議論することはやぶさかではない。大学側としては学生諸君の問題提起に関心を持っている。すべての人が満足するような解決策が出ることを期待するが、そのような解決策が出るのは難しいとも思っている。我々が最大限理解している限りでは、ARCHに取り付けられたすべてのステンドグラスにはそれなりの目的があった。こうした経緯についてはステンドグランス周辺に何らかの形で明記したい」
そこへキャンパス外から介入してきた団体がある。ニューヨークに拠点を置く「韓国系アメリカ人保護者協会」だ。
「保護者協会」と名乗っているが、実はペンシルベニア大学の韓国系学生とは全くの無関係。設立当初、韓国移民の児童たちの面倒を見る「保護者」的役割を始めたところからこの名称が用いられている。ニューヨーク州に慈善事業団体として登録されているが、実態は韓国系のロビー団体。
今年1月には、店内に長時間居座る韓国系高齢者たちを「商売に影響が出る」として警官に排除させたニューヨーク市クイーンズ区のマクドナルド店舗に抗議、謝罪を引き出した。2月と3月には「旭日旗反対闘争」をそれぞれ展開するなど、行動派の団体だ。
同会共同会長のチェ・ユンヒ女史は次の書簡をエイミー・ガットマン学長に送りつけた。
「アメリカ社会では日本の帝国主義とアジア侵略のシンボルである『戦犯旗』に関する認識が欠如している。この旗はナチスのハーケンクロイツの旗と同じだ。世界屈指の最高学府であるペンシルベニア大学には『ヒューマニティを助長させる知識』という校風がある。その大学のキャンパス内に『戦犯旗』のデザインが飾られている事実は極めて衝撃的だ。速やかにこれを撤去することを期待する」
大学当局は韓国系学生たちに回答した経緯を説明する返書を送り、問題はすでに解決済みとの見解を示している。「建国の祖」の一人、ベンジャミン・フランクリンが創設した伝統校。新参者の韓国人学生やその支援団体に270余年の歴史を書き換えさせるほど馬鹿ではなかった。