韓国左翼が福島第1原発「処理水放出」で怪談吹聴 科学に基づかない批判 彼らが「食べると死ぬ魚」をどんな詭弁で食べるのか

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は19~21日、G7(先進7カ国)首脳会議に招待国として参加するため、広島を訪問する。滞在中、岸田文雄首相と、ジョー・バイデン米大統領による日米韓首脳会談も予定されている。日韓関係の改善を受け、両首脳の「シャトル外交」も復元したが、韓国内には依然として強力な「反日」勢力が存在している。東京電力福島第1原発の「処理水」の海洋放出をめぐっても、科学に基づかない批判を展開している。ジャーナリストの室谷克実氏が、異常な韓国左翼勢力を喝破した。

科学に基づかない怪談を信じ込んだ人々を説得するのは、とても難しいことだ。その怪談が政治の主張とモロに絡んでいれば、なおさらだ。

福島第1原発の「処理水」の海洋放出問題だ。韓国の左翼勢力は、「親日=絶対悪」とする伝統意識に悪乗りして、「日本が放出すると、世界中の海が汚染され魚介類が食べられなくなる」との妄想を振りまきつつ、「放出を容認しようとしている尹錫悦政権は『親日』だ」と、飽きることなく騒いでいる。

しかし、隣国の放出反対派がどれほど騒ごうと、日本は国際原子力機関(IAEA)が「問題ない」と認めている放出に踏み切る。科学的知見からも国際法から見ても、何ら問題がないからだ。

李明博(イ・ミョンバク)政権時代、金滉植(キム・ファンシク)首相が2012年11月、竹島問題に関して「日本は国際法や法治主義を乱用するな」と述べたことを思い出した。韓国は国際政治の場でも〝わが国民感情〟を振り回すのだ。

左翼新聞のハンギョレ(21年4月23日)は、「科学という名の横暴」という見出しの記事で、海洋放出を「科学的には問題ない」とする日本政府や韓国の著名な教授を攻撃した。〝わが国民感情〟の前には、科学的知見も引き下がれと言うのだ。

韓国の海洋科学技術院などが今年2月に公表した共同シミュレーション結果は、10年間の放出により韓国海域のトリチウム濃度は10万分の1、つまり「計測もできない程度」高まるというものだ。

これは左派系メディアも報じた。しかし、それに付いた書き込みは「原発マフィアどもが…」などと、頭から信じないものが多かった。

保守系紙は今年春あたりから、海洋放出を容認するような〝科学的な説明記事〟を掲載するようになってきた。

例えば、朝鮮日報(23年3月27日)は「福島原発のトリチウム排出量は年間22兆ベクレル」「韓国の排出量はその10倍」「フランスは623倍、カナダは85倍を排出中」と指摘した。

ここまで明確な数字を突きつられても、「科学という名の横暴」に怒る人々はびくともしない。

最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は15日、「日本は井戸に毒劇物を入れながら、これは安全だと主張している」として、尹政権の「親日」姿勢を非難した。

ハンギョレは連日、「危険な放出」批判の記事を掲げている。が、目立つのは「市民団体」の発言を引用することが増えていることだ。

共に民主党が振りまいた怪談を、「市民団体」が語る。それをハンギョレなど左翼マスコミが報じて、また怪談を煽る。「市民団体」の声に、共に民主党が勢いづく―犬が自分の尻尾を噛んで回っている姿を思い出してしまう。

08年、韓国では米国産牛肉の輸入に反対する大ロウソクデモが起きた。左翼マスコミが「韓国人は遺伝的に狂牛病に弱く、脳に穴が開いて死ぬ」という怪談を広めたためだった。が、22年、韓国は米国産牛肉の最大の輸入国になった。

「日本が放出すると、世界中の海洋が汚染されて魚が食べられなくなる」と絶叫している韓国人は水産物を食べなくなるのだろうか。まさか。彼らが放流後、どんな詭弁(きべん)を弄して「食べると死ぬ魚」を食べるのか、いまから楽しみではないか。 (室谷克実)

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