関係ない「上る太陽」を「旭日旗だ」と大騒ぎ
まず上の絵をじっくりご覧いただきたい。
南カリフォルニアの大都市、ロサンゼルスのココナツツリーに昇る真っ赤な太陽。ハリウッド女優を思わせる女性の横顔。スタットン氏のトレードマークは「上る太陽」。これまでにもブルックリンのビルの壁にも描いている。
ところがである。この壁画にいちゃもんをつけた者がいる。
ケネディ公立学校があるロス市内ウェルシェア地区に住むコリアンの団体だ。
「Wishire Community Coaltion」(WCC)ウェルシェア・コミュニティ連合会)ともっともらしい団体だが、実態はこの地域(この地域はロス市内のコリアン人口密集地、通称コリアタウン)に住むコリアンの団体だ。
「この壁画の太陽は日本帝国主義のシンボルである旭日旗を思い起こさせる」
「旭日旗はアジア全土を侵略し、アジア人民を弾圧し隷従させた人類に対する犯罪を象徴したものだ」
「それをなぜロスの、しかも公共教育施設の建物の壁画にしているのか。許せない。直ちに撤去せよ」
WCCは11月15日付でケネディ公立校長およびロサンゼルス統一学区長らに公開質問状を突きつけたのだ。
「ウェルシェア・コミュニティ連合」実は「オール・コリアン・32団体」
公開質問状に署名したWCCには、ロサンゼルス近郊のグランデール市立公園内に従軍慰安婦像設置に大活躍したコリアン女性団体はじめ韓国系学者・弁護士、歯科医師、在郷軍人など32団体が名を連ねている。
公開質問状提出を受けて同校周辺で集会で気勢を上げたのちデモを繰り広げた。
集まったコリアンたちは手に手に「No Rising Flag」(旭日旗反対)「No Imperialism」(帝国主義反対)「No Hate Crime」(ヘイトクライム反対)「No hate Symbol」(ヘイトシンボル反対)と書かれたプラカード。
中には軍服に勲章をつけた退役韓国軍将校の姿もあった。
(ベトナム戦争に参戦したことで米市民権を獲得した韓国軍兵士が少なくないが、その中にはライダイハン、ゴダイ大虐殺に関わり合いを持った元兵士もいると噂されている)
ヒスパニック系のロサンゼルス統一学区長は「土下座謝罪」
驚いたのは、ロサンゼルス統一学区長のヒスパニック系のロバート・マルティネス氏。早速開いた記者会見で声を震わせてこう述べた。
「芸術とはヒューマン・スピリットを祝福するためのものであって、コミュニティ感情を損なうものであってはならない。もしこの壁画で誰かを怒らせてしまったのであれば、お詫びしたい」
この壁画の意味や画家の思いなどには一切触れないままの完全謝罪。
これを聞いたコリアンは「これほど嬉しい日はない」(WCC代表のチャン・ヤン・ジェン氏)と小躍りした。
ジェン氏は、マルティネス氏の会見前には「当局の対応次第では裁判沙汰も厭わぬ」とまで強硬姿勢だった。
何と言っても数は力なり。ロサンゼルスは全米都市の中でもコリアンが一番多く住んでいる都市。
総人口の2.8%、11万679人(2015年人口統計)。ロサンゼルス周辺のアナハイム、トーランス、アーバイン、グランデールにはそれぞれ1万人以上が居住している。
学区長としても壁画くらいでコリアンを敵に回したくなかったに違いない。
泣く子も黙る「アメリカ市民自由連合」は「危険な前例作るな」と抗議
ところがこの完全謝罪に真っ向から異議を申し立てのは画家のスタットン氏だけではない。
「教育・言論の自由」「自由人権」では他の追従を許さぬ2つの団体が前面に出てきたのだ。
1つは「American Civil Liberties Union」(ACLU=アメリカ市民自由連合)。ヘレン・ケラーさんらが創設した全米で最も影響力のあるNGO団体。会員は1万5000人。
もう1つは全米の学校長らが名を連ねている「American Association of School Administrators」(AASA=アメリカ学校教育責任者協会)。会員数は50万人。
2団体の主張はこうだ。
「この壁画を撤去することは、学校で学ぶ生徒たちが多様な考え方や見解に接するアクセスを一方的に査定し、許可不許可を決める公共の圧力に屈する危険な前例を作りかねない」
さてローカルな市議会などでは議会構成や選挙時の集票活動で慰安婦像設置に成功してきたコリアンの米国での「歴史戦争」。
「教育の自由」を盾に米本流の最強団体を向こうに回してどう戦うか。興味津々だ。
名門ペンシルベニア大学でも起こした「旭日旗」騒動でコリアンは「惨敗」
もっともコリアンの「旭日旗」いちゃもん騒動はこれが初めてではない。
2014年5月、フィアディルフィアの名門校、ペンシルベニア大学の学生食堂のステンドグラスに「旭日旗」のデザインが施されていると韓国から留学してきた学生たちが騒いだことがある。
その「旭日旗」とはこれである。
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コリアン学生たちは「あれはナチスのカギ十字と同じ『戦犯旗』だ。世界の最高学府にそれがあるのは許せない」と大学当局に迫った。
しかし学長は「学生食堂ビルは世界中に宣教師を送り出した『キリスト教学生協会』から譲り受けた貴重な建物。しかも問題にされたデザインは第2次大戦以前のもの。帝国主義とは何の関係もない。これは大学の財産だ」と突っぱねた。
今回のいちゃもんに韓国駐在経験もある米元外交官の一人は筆者にこうコメントしている。
「ロスの次はアリゾナ州旗」?
「公開質問状には、今、日韓間で問題になっている慰安婦問題や徴用工問題も膨れているようでなにやら韓国政府関係者の差し金が感じられる」
「さる10月、済州島で開かれた韓国の国際観閲式で自衛艦に旭日旗掲揚自粛を要求し、日本側がこれを拒否して欠席した話とも無関係ではないのではないか」
「第一、この壁画を見る限り、旭日旗とは何の関係もないじゃないか。そんなことを言ったらアリゾナ州の州旗はどうなるのかね」
「一言でいえば滑稽で話にならない」
さて在米のコリアンの次なる標的になるかもしれないアリゾナ州旗。ご参考までに。
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「韓国の常識」もここまでくると「世界の非常識」。