若い頃にアイドル的な人気を呼んだミュージシャンも、加齢による外見の衰えは避けられない。男性の場合、最も深刻なのは頭髪の問題。何らかの対策を打とうとしても、ステージで強いスポットライトを浴びるため、半端なカツラではすぐにバレてしまう。そのため、音楽界では古くから植毛が広く普及してきた。
音楽業界には3大植毛スターがいるという。
「俳優としても活躍するF、フォーク界の顔役S、ロック界の大御所Hです。彼らはみな30代半ばくらいから植毛施術を受けており、Sなどは年々髪の毛が増えていく様子が、ファンの間で話題となりました。Fは薄毛化のごく初期に手を打ったため、一般の人の多くは気付いていないかもしれません」(頭髪問題に詳しいイベント関係者)
ビジュアル系バンドを筆頭に、若い頃に髪や頭皮をいじめ抜いたミュージシャンの場合はとくに深刻だ。彼らの多くはアラフォー前後には薄毛となっている。バンド休止後にアイドルグループのプロデュースで成功したTもその一人。最近はパーマをかけて長髪にしているものの、無残なほど地肌が透けており、「今すぐに植毛が必要」(音楽雑誌編集者)との指摘も出ている。
そんな中、意外性のある名前が浮上した。先日、新しいアルバム『Ray Of Hope』(ワーナーミュージック・ジャパン)を発表して各界から高い評価を受けた山下達郎である。
「山下さんといえば、薄毛ミュージシャンの代表格です。薄くなっても髪の毛を伸ばし続け、落ち武者のような姿で平然とメディアに登場。ファンからは『音楽だけで勝負するヤマタツらしい』『変に隠すよりも潔い』と評価されてきました。しかし、今回出回っている宣伝写真は明らかに前髪がボリュームアップ。一頃のフォークシンガーSのように、頭髪全体も不自然に黒々としているのです」(前出のイベント関係者)
もっとも山下達郎の場合、薄毛が目立つ写真も出回っており、植毛を行ったと断言するほどの証拠はない。「スタイリング剤でボリュームアップさせただけ」という見方もできるが、いずれにしても今回、頭髪に関して何らかの対策を施したのは事実。
山下達郎のような実力派ミュージシャンまでもが、新規ファンの獲得を狙って外見を気にする――これも、長引く音楽不況の表れのひとつなのかもしれない。
(文=市場葵)