中国・上海市の黄浦江で1万頭を超える病死したブタの死骸が見つかった報道から間もなく1カ月。「病死したブタ肉が加工され、日本に輸入されているんじゃないのか」と不安視する声も出ているが、怖いのはブタ肉だけじゃない。他にも「危ない中国食品」が日本の食卓を脅かしているのである。
厚労省が毎月公表している輸入食品の「食品衛生法違反」リストを見ると、中国からの食品は、水産物から加工品に至るまで、ありとあらゆるモノが引っ掛かっている(別表)。
「農水省所管の農林水産政策研究所がまとめたリポートによると、中国産食品の汚染形態は、〈高濃度の残留農薬〉〈禁止薬物の添加〉〈抗生物質〉に大別されます。出荷を早めるために成長促進剤を使う養豚、養鶏農家も多く、インフルエンザを防ぐための抗生物質が大量に使われている。黄浦江で見つかったブタの死骸は抗生物質の投与をやめたために死んだのではないかともいわれています」(流通ジャーナリスト)
ヤバイのは、検疫で引っ掛かったのは、氷山の一角に過ぎないことだ。全量検査ではなく、サンプル検査のため、危ない食品がすり抜けているはずだ。
しかも、中国の危ない食品は、危険度が高い。違反となった食品に含まれていた原因物質を見ると、毒性が高い有機リン系殺虫剤の「クロルピリホス」、除草剤の「アセトクロール」や「プロメトリン」、発がん物質で知られる「アフラトキシン」などが多量に使われていた様子がうかがえる。
さらに、「PM2.5」(微小粒子状物質)で川や土壌も汚染されているから、食品の汚染度、危険度は増すばかりだ。
食品ジャーナリストの郡司和夫氏はこう言う。
「違反事例は、たまたまモニタリング検査で見つかった氷山の一角で、汚染食品はすでに市場に大量に流通していると考えた方がいいでしょう。中国では冷蔵倉庫のようなインフラ設備が十分整っていないため、輸出食品を長持ちさせる手段として大量の農薬が使われるので注意が必要です。とくに気をつけるべきなのは、添加剤を使った加工食品です。製造工程の管理がズサンなため、不純物が混入する恐れがある。過去に日本で起きた森永ヒ素ミルク中毒事件のような問題が起きる可能性もあります」
中国産食品がこれだけ流通した今、全く口に入れないことは事実上、ムリだ。厚労省の違反事例をマメにチェックするなど自己防衛するしかない。
【中国輸入食品の主な食品衛生法違反事例】
◆品名/不適格内容
◇乾燥海藻類/二酸化硫黄検出
◇冷蔵むき身ウニ/腸炎ビブリオ検出
◇かに風味かまぼこ/大腸菌群陽性
◇スライスちくわ/大腸菌群陽性
◇チヂミ/大腸菌群陽性
◇冷凍しめさば/大腸菌群陽性
◇活あさり/プロメトリン残留
◇ウーロン茶/フィプロニル検出
◇生鮮わさび/ピリメタニル検出
◇ライチ/パクロブトラゾール検出
◇冷凍養殖むき身えび/スルファメトキサゾール検出
◇塩漬け野菜/スクラロース検出
◇えだまめ/ジフェノコナゾール検出
◇あわびたけ水煮/次亜硫酸ナトリウム検出
◇乾燥あんず/次亜硫酸ナトリウム検出
◇さやえんどう/クロルピリホス検出
◇乾燥きくらげ/クロルピリホス検出
◇ピーナッツ/アフラトキシン検出
◇香辛料とうがらし/アフラトキシン検出
◇大粒落花生/アフラトキシン検出
◇ブロッコリー/アセトクロール検出
◇イカリングフライ/E.coli陽性
◇白身魚フライ/E.coli陽性
(厚労省HPから/12年4月~13年2月)
(日刊ゲンダイ2013年4月1日掲載)